[2000/11/28from:OOTO]いかがでしたか?

こんにちは、TNさん。建築計画網・大系舎の大戸です。
いろいろとお世話様です。
>壁の件,とても残念です.
☆かなりこだわりがあるようですね。困ったな(笑)
今日たまた渡辺篤史のお宅探訪を見ていましたら、やはりクライアント自ら珪藻土を塗られたお宅が出てきました。
巷(クライアント仲間?)では、これが流行っているのでしょうか?
☆この件について、これまでの経験で私が気になることは次の点です。
1,素人であるクライアントが、プロの仕事の流れの中に組み込まれると、現場が混乱することがあります。
2,珪藻土は、高価な材料です。
3,主空間は、施工者の腕の見せ所でもあり、プロ(施工者に)に、締めくくってもらいたい。
左官職人
1については、前回お話しました。
特に今回のようなローコスト住宅では、合理化しなければ建設費が落ちないことが多いのが、気になる点です。目に見えないですが、建設工程の合理化は、ローコスト化には欠かせません。
ですから、クライアント自らが塗ると言うことは、ローコストにつながるとは限りません。
以前手がけた、B邸では、施主が随分参加しましたが、工程の調整で、かなり苦労をしました。
2,珪藻土にも、いろいろなグレードがあるようです。私も何度か見積もりを取ったことがありますが、かなり高価なので未だ採用したことがありません。
(NS邸の和室では、コスト調整段階で諦めました。)
それから、左官系の仕上げは高度な技術が必要です。
左官系とは、モルタル、漆喰などどろどろな土などを鏝で塗ってしあげる技術です。
塗装系なら、可能かもしれません。塗装は、塗料を刷毛やローラーで塗ります。
3,住宅は、クライアント、施工者(職人)、設計者がお互いに協力しあいながら、作っていくものだと考えています。
最近では、アグレッシブな施主が増え、クライアント参加型の家づくりが増えて来ました。そのため私たち建築家や、職人も今までとは随分異なった家づくりを行うようになってきました。
クライアント自ら、家づくりに参加されることは良いことだと思いすが、一方参加の方法は、熟慮する必要があると思います。
極端な家づくりでは、セルフビルドと言いまして、施主自ら設計から施工まで行ってしまうものもありますが、これは例外だと思います。
いろいろな経験から、私はクライアント参加型の家づくりを成功させるには、クライアントの参加の方法に少し工夫が必要ではないかと考えています。
良い家づくりとは、クライアント、職人、そして設計者の3者がお互いに、尊重しあいながら、それぞれが充実感を味わえることにあると思います。
それぞれの参加が、他を追いやるのではなく、相乗効果としてプラスに向かうことが大切だと思います。
そう考えると、職人達にとっての充実感は、最後の締めくくりを仕上げる事にあると思います。職人達にとっては、それまでの地道な作業も報われると思います。(花道をもたせてあげたいと言うのでしょうか。)
だから主空間をクライアントが仕上げることには、私は少し反対です。クライアントや、私は、客席で拍手を送って上げたいと思います。
塗装職人
以上を考えますと、もし参加されるなら(例えば壁を塗るなら)
1,主空間でない場所。(例えば1F寝室、ユーテリティー、ロフトなど)
2,ローコスト化のためでなく、家づくりに参加するという遊びの行為と考えること。
(むしろコストが掛かります。)
3,なるべくプロの工程から切り離すことが出来る部位が良い。プロの仕事とは切り離し、時間を気にせず作業出来るものが望ましいと思います。
実際、足場や養生(床にこぼさないようにするためのシート)、工具(鏝、ミキサー)などは全て費用が掛かります。
私自身は、施主が参加していただくことには賛成なのです。
ただ方法として、少し熟慮する必要があると考えています。
何か良い方法、良い部位を考えますので、あまり悲観的にならないで下さい。(笑)
またあまり珪藻土にもこだわらないでいただきたいです。
以上私の意見を述べさせていただきました。
以上よろしくご検討下さい。
***** 建築計画網・大系舎 大戸浩 <ooto@taikeisha.net> *****
***** http://www.campus.ne.jp/~ooto/taikeisha.html *****
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[2000/11/29from:OOTO]RE:いかがでしたか?

こんにちは,TN(妻)です.
お返事遅くなり申し訳ありません.
> こんにちは、TNさん。建築計画網・大系舎の大戸です。
> いろいろとお世話様です。
>壁の件,とても残念です.
> ☆かなりこだわりがあるようですね。困ったな(笑)
すいません..
前回のメールでいろいろ書こうと思っていたのですが,なんだかまとまらなくて,とりあえず次回の打ち合わせのお願いを出しておこうと思ったのですが,私の言葉少なさがさらに大戸さんにご心配をお掛けしてしまったようです.
申し訳ありません..
> 今日たまた渡辺篤史のお宅探訪を見ていましたら、やはりクライアント自ら
> 珪藻土を塗られたお宅が出てきました。
> 巷(クライアント仲間?)では、これが流行っているのでしょうか?
私たちも見ました.
なかなか味のあるお住まいでした.
家を建てようとしている人は必ず見るようになる番組のようですが,プロの方も見ているんですねぇ(笑).
壁を塗るのが流行りかは分かりませんが,自然素材は流行ってますよねぇ.
なかでも珪藻土は一番人気のように感じます.
珪藻土を使いたい→でも高い→だったら自分たちで塗ろう!が多くの単純な考えじゃないでしょうか.(間違えているようですが).
私は,珪藻土の性能はほとんど理解してません.広告や記事に躍らされているだけかもしれません.たんなるミーハーですね(笑).
ただ,あの質感がいいように感じるのです.
宇都宮のお宅でも見せていただいた,塗り壁なのですが,真平らすぎてすこし寂しい感じがするのです.
> いろいろな経験から、私はクライアント参加型の家づくりを成功させるには、
> クライアントの参加の方法に少し工夫が必要ではないかと考えています。
> 良い家づくりとは、クライアント、職人、そして設計者の3者がお互いに、尊
> 重しあいながら、それぞれが充実感を味わえることにあると思います。
> それぞれの参加が、他を追いやるのではなく、相乗効果としてプラスに向
> かうことが大切だと思います。
> そう考えると、職人達にとっての充実感は、最後の締めくくりを仕上げる事
> にあると思います。職人達にとっては、それまでの地道な作業も報われる
> と思います。(花道をもたせてあげたいと言うのでしょうか。)
>
> だから主空間をクライアントが仕上げることには、私は少し反対です。
> クライアントや、私は、客席で拍手を送って上げたいと思います。
私にとっては,私の家なのに..という気持ちもあります.
でも,職人さんたちにとっては,一つの作品でしょう.
自分たちの作品に素人が手を出されても..というのも良く分かります.
大戸さんがおっしゃる意味も良く分かっているつもりです.
私の感覚では,壁を塗ることが,仕上げであるという感覚がありませんでした.
確かに,一番のメインの部屋の仕上げを他人(しかも素人)に任せるというのは,職人さんのプライドを大きくキズつけることになるでしょう.
しかも,ローコストにもつながらないんじゃあ,仕方がないですね.
> 以上を考えますと、もし参加されるなら(例えば壁を塗るなら)
> 1,主空間でない場所。(例えば1F寝室、ユーテリティー、ロフトなど)
トイレでも塗らせてもらおうかなぁ..
実は昔から,左官やさんの作業が好きなのです.
すべての職人さんの「職人芸」が好きなのですが,塗りの作業は以前から見るのが大好きでした.
単に自分でもやってみたかった..だけなんです.
木部塗装工事
> 私自身は、施主が参加していただくことには賛成なのです。
> ただ方法として、少し熟慮する必要があると考えています。
>
> 何か良い方法、良い部位を考えますので、あまり悲観的にならないで下さい。(笑)
> またあまり珪藻土にもこだわらないでいただきたいです。
よくわかりました.ご丁寧にお返事いただいてありがとうございました.
それでは,今週の土曜日に事務所に伺います.
よろしくお願い致します.
TN-- ☆.・¨
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