現地調査報告書
建築計画網・大系舎
先日は暑い中ご苦労様でした。
さて、今回の敷地は、結果的に他人の手に渡りましたが、私の最終判断は、この敷地は『買うべきでは無い』です。
当日見た敷地は、一見非常に開放的で、方位も良く条件が良いように見えました。
ただし、地下に埋設されている、調整池は調べれば調べるほど、問題が多いようです。
私が調べた範囲で、調整地の問題は以下の通りです。
1,コンクリート構造が結局不明瞭。
図面(いただいたコピー)にクレジットが書いてある設計事務所に、詳しい資料をいただけるよう電話でお願いしたら、この図面(コピー)は変更されている可能性があり、変更は他事務所が行ったので、うちはもう関係ないと言われました。
擁壁に書いてあった連絡先の××建設に連絡したら、そういったことは協力できないとのことでした。(ここもうちは関係ないと言われました。)
結局きちんとした資料が集まらなかった。
同様に、3mの垂直の擁壁も、結局どこが作ったか不明です。××建設は、関係ないと言っていました。ちなみに××建設は、施工業者でなく、建て売り業者(流通業者)だそうです。紛らわしい名称です。
市に聞いてみたら、この擁壁は、この建て売りが開発される以前に、別に作られたようです。
2,調整地が、原理的に問題あり。
火曜日に、市にたずねたら、ここは常時水が通っている仕組みだそうです。仲介のSさんは、たしかここは普段は通らないとおっしゃっていました。(Sさんが悪いのではなく、多分売り主がきちんと把握していないのでは。)
この調整地に大雨が降った時に一時、貯水されるようですが、私が当日潜った時に見えた水の出口のパイプ(画像参照)は、20センチ径程度のものでした。
そうであれば、もっと高い場所からの水が集中する訳ですから、集中豪雨でもあれば、中で水が満杯になり、上の蓋から水があふれ出てくる可能性もあります。
3,やはり管理が曖昧。
この調整地は、出口付近に、泥だめがあります。ここに流れてくる泥が貯まりますが、これは誰が掃除するのでしょうか。結局所有者ということになると思います。年間で考えれば、結構な量になるかもしれません。結局、清掃業者などを雇って掃除するのは、所有者ということになってしまいそうです。
4,中間に入っている業者が、少しいい加減。
先ほどの通り、擁壁の看板の××建設は、とてもいい加減なことを言いますし、売り主は、売ってしまえば良いとお考えになってように感じています。横浜市の話では、管理上問題が出ると困るので、上部に住宅をなるべく作らないで欲しいと、言ったようです。
以上、総合的に考えると、やはり問題が山積みであると思いました。時間があれば一つ一つ解決する事も不可能ではないかもしれません。ただそれは可能性が非常に低いと思います。これらをきちんと把握して、問題を解決しないと後で問題が非常に起こりやすい物件でしたね。こういったことは、プロでも判断が難しいですし、一般の方は、ほとんど判断が出来ないと思いました。
よく不動産に、掘り出し物はなかなか無いと言われますが、格安物件は本当に注意が必要だと痛感しました。
今回は残念ながら、手に入りませんでしたが、お気を落とさずに、がんばって探して下さい。土地に巡りあうことは、縁のようなものもが関係するかもしれませんね。
今後土地探しで、ご協力できることがあれば遠慮なく、おっしゃって下さい。
以上、ご報告申し上げます。
00/07/26
建築計画網・大系舎
所長 大戸浩