プライバシーに関する点は非公開の方が良いと思いますが、一般に設計料というのはどれくらいなのかの見当もつきません。
もしこのような情報が公開されれば、もう少し設計等の依頼がやり易くなると思います。(ホームページへの公開でも良いと思いますが）
一般の方から、設計料がどの程度かというご質問が非常に多いので、この件につきましては、ＨＰ開設当初から、公開することを考えていました。
当事務所は、設計料は工事費に対する料率で決めております。
料率は、建物の種類と工事費によって、比率を定めており、住宅（４類）では以下の通りです。
建物の種類は、第１類から第５類まで、設計の難易度で、類別しています。
このうち、住宅は、第４類です。
建築全体の中では、工事費が小さな割りには、とても手間が掛かるジャンルなので、料率は高めですが、ご理解下さるようお願いいたします。
（例）
専用住宅の場合(第4類)
工事費（万円）
料率(%)
設計監理料(万円)
2000 （万円）
12.07 (%)
241 (万円)
3000 (万円)
11.47 (%)
344 (万円)
4000 (万円)
11.07 (%)
442
5000 (万円)
10.76 (%)
538 (万円)
※工事費が表の中間の場合は加重平均 （前後の料率を、比率で割り出す方法）
なお、工事費は実際に発注された請負工事費契約書に基づきます。
設計契約時には、工事費はあくまでも予算なので、実際の工事費、つまり工務店との契約工事費とは異なります。従いまして、当事務所では契約時は、想定工事費を固定して設計料を定め、実際の請負金額が決まった時点で、精算して頂くように御願いしています。
設計料に関しては、それだけを考えると、一般の方々にとっては非常に高額に感じられると思われます。設計事務所は、そのほとんどが人件費であり、十分な仕事を遂行しようと思うと、この料率表の価格は、リーズナブルと考えております。
また、設計の重要な仕事一つで、一般の方々が、あまり知らない事柄で、『施主の立場で、見積もりを依頼した工務店との価格調整を行う』ことがあります。設計事務所の能力しだいで、工事見積もり金額は１０％前後は、動いてしまいます。
例えば、施主の工事費の予算を3000万円とします。
設計料は、料率表より11.47%になりますから、344万円です。
実施設計完了後、工務店数社に見積もりを出すとしますと、大体は予算を上回って出てきます。
例えばＡ社3200万円、Ｂ社3500万円、Ｃ社3300万円ぐらいが普通です。
この見積書は、１００項目以上の数量と単価からなるの内容から出来ており、その内訳は、専門家以外は分からないものです。つまり、見積書が高いか、間違っているかの判断は専門家以外は分からないのが現実です。
ここで、我々は一番低かったＡ社の見積書を分析して、間違い、高い項目などをチェックします。また、場合によっては設計を変更し予算の3000万円に近づけていきます。ただし、この能力はすべての設計事務所にあるわけではありませんので、設計事務所を選ぶときは注意してください。
クライアントから見れば、設計料は安いにこした事はないに決まっておりますが、設計料が安い設計事務所は、このような仕事を行う能力があるかは分かりません。
１）全体工事費（工事費＋設計料）を、3000+344=3,344万円で、納めるか
２）安い設計事務所を選択し、設計料を、344万円*80%=275万円として 工務店Ａ社の見積もり金額通り3200万円で契約したとすれば合計 3200+275=3475万円施主は出費したことになります。
つまり、施主にとって、全体の出費（工事費＋設計料）を考えたときに設計料で少々値切っても、工事費の出費が大きければ得ではないということです。この辺の事情は、分かりにくいので、可能な限りＨＰに公開していくつもりです。
私たち設計者は、クライアントの代理人です。
家づくりの様々な難しい場面で、クライアントのナビゲーターとして、利益を守るための対価として設計料をお考え下さい。いわゆる図面を書くだけが、設計者の仕事ではないことをご理解下さい。
すべての設計者が、良心的で、能力のある人とは限りません。
また団体に所属しているからといって、安心できるとは限りません。
設計料を額面だけで、高い安いと判断しないで、設計者が何をしてくれるのか、説明をきちんと受けて、ご自分で納得してから契約するようにして下さい。 （大戸浩）
(参考)工事費相見積公開例
NO.11_TN-HOUSE
NO.12_HM-HOUSE
NO.14_ST-HOUSE
NO.17_NA-HOUSE
