住んでから少し時間が経過した住宅の様子を
レポーターの市川さんを通して表現しています

千葉市郊外に建つ、木造2階建て住宅です。設計のテーマは老後の家です。
-Vol.9-
老後のすまい・漆喰の家
- TH-HOUSE -
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3,建てるときから●十年後を考える


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家を建てる際、THさんから出されたもう一つの条件は、「私たちよりも家の寿命のほうが長い」から、二人だけのための家ではなく、そのあとも誰かが使える家を考えてほしい、ということ。

100年住宅、200年住宅など、住宅の長寿命化を希望する人は増えても、要望として「自分たち以降」が語られるのはまだ珍しいと思います。

長寿命の家でも、「あなたがたが亡くなった後には?」とは設計者側も言い出しにくいですから、依頼者側自らが言ってくれるのは、やはり設計条件をクリアにすることにつながります。


th3-2.jpgTH邸では、2階などはとてもゆったりと使っておられて、ご夫婦二人の住宅としては、かなり余裕があります。
大戸さんが、将来的に4人家族でも住めるように考えて設計しているからです。
広さの余裕は、二人暮らしの生活もゆったりと包み込むので、現状でも決して「無駄」は感じさせません。

奥さまは「引戸を開けておくと、向こうへの広がりを感じられるので、すごくいい」とおっしゃっていましたが、ぎりぎりの寸法をやりくりする都市住宅では難しい「余裕」があるからできたことも多いと思います。

汎用性があるように大きくつくっておける、というのも郊外住宅ならでは魅力と言えそうです。

建築をストックとして考えようというのは、何十年も前から言われていることですが、多くの生活者の意識は現在でもそこまで至っているようには見えません。

THさんのような発想をみんなが持てれば、住宅ローンに汲々とする日本のライフスタイルも大きく変わるのではないでしょうか。
 

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