02.要望の伝え方?便利なツールも使いよう?
オンライン設計室NO.27「TD-HOUSEができるまで」を見ると、TDさんたちが、かなり綿密に検討をしてから大戸さんに依頼していることが分かります。
特にオンライン設計室td-house_vol.4から始まる「持ち物リスト」は秀逸。
写真付きでわかりやすし、サイズもしっかり入っているようで、これから設計依頼をする人にも参考にしてほしい整理の仕方ではないでしょうか。

もう一つ注目したいのが、オンライン設計室vol.1の末尾に出ている「参考プラン」です。
かなり本格的な図面に見えますが、これはTDさんが描いたもの。
「ソフトがすごいんですよ」とTDさんは謙遜されましたが、雑誌や本、インターネットなどで勉強されたTDさんの「成果」です。
最近では、いろいろなソフトがありますから、TDさんのようにパソコンに精通している人なら、建築を勉強して、結構本格的な図面も描けます。
事前の検討などには非常に有効なツールといえます。
ただ、基本プランとはいえ、ここまで本格的に図面化されていると、設計者はその扱いに苦慮することもあると思います。
それは、どこまでが「要望」なのか、こういった機械的な図面では読み取れないからです。
都市部の狭小敷地では、法規制によって建物のかたちはほぼ決まります。
つまり、誰がやっても一緒。設計者たちは、残りのわずかな部分で、いかに住まい手の要望を織り込み、快適性を生み出すかを考えます。
要望をまんべんなく(ときに中途半端でも)実現するか、優先順位の低いものを諦めて、高い順位の希望を120%満足させるか、などを考えるわけです。
ところが、事前にかなりきちんとした図面があると、そこから外れることが、クライアントの考えたプランを否定する結果になります。
この「否定する」という点が、設計者の判断を鈍らせることになるのです。
TD邸では、これはあくまで「参考」で、別に要望が言葉で整理されていたため特に問題にはならなかったようですが、言葉や手描きのプランで要望を伝え、設計者に考える余白を残してあげることも、クライアントのやさしさなのかもしれません。
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