3,「定期的に雑誌はPDF化しています」

という奥さんのコメントには、正直びっくりしました。 NR邸を訪れて、まず驚くのが室内のきれいさです。 我々がお邪魔するのに備えて、事前に片づけてくれたのかもしれませんが、そもそもモノが少ない。少なすぎる(笑)。
お話をうかがうと、そこにもご夫妻独特の考え方や感性が感じられました。
 「PDF化する」のもその一つ。 雑誌が溜まってきたらまとめてそういうサービスに依頼してスキャン。 データ保存するのだそうです。 雑誌自体は廃棄するため、家の中に雑誌が溜まっていくことはありません。
設計中、森川さんは何度もご夫妻に「本当に大丈夫ですか?」と確認したというほどNR邸には収納が少ないのですが、それは「入らなければ、モノを減らせばいい」というお二人の考え方があるから可能になったのでしょう。 炊飯器や電子レンジでさえ、「以前はあったけど捨てました」とのこと。
ただし、お二人がミニマリストというわけではありません。 「あれはいらない、これも捨てたといいながら、ホームベーカリーはあるしミキサーなんて3つもあるんです」と笑いながら話されるように、お二人の価値観のなかで、要不要をしっかりと判断されている、ということです。
多くの人は、少しでもたくさん収納を欲しがります。 それは、すっきりとした暮らしに憧れるからだと思います。 でも収納は、あればあるだけ入れてしまうもの。 収納に入れて見えなくなれば、要不要の判断が先送りされて溜まっていきます。
限られた面積の中で、すっきりとした暮らしを理想とするなら、収納量を追い求めるだけでなく、自分たちの要不要を見極めることも大切。 そう思わせてくれるNR邸です。
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