住んでから少し時間が経過した住宅の様子を
レポーターの市川さんを通して表現しています

墨田区の狭小地に建つ2階建て木造住宅。 間口が狭く、奥行の長い「したまちの家」です。
- NR-HOUSE -
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1,「子供部屋は本当に必要かなぁと思っていました」

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nr_0102.jpgNRさんご夫妻の発想は、ちょっとユニーク、と言われるかもしれません。

「デザイナーという職業柄」とご主人がおっしゃるその発想は、一言で表せば「モードレス」。
「1つの機能」に縛られることなく「いろいろ使えるものが好き」ということのようです。
これを間取りにあてはめると「子供部屋」という単一の機能の部屋は疑問という、冒頭のコメントにつながります。

実際、NR邸ではロフト空間が将来のお子さんのスペースになると思われますが、現状では家族で使える共有スペース。音楽を聴いたり、ちょっと集中して作業したりと多目的に使われています。
そして、この状態はしばらく続きそうです。

「計画中にそんなにはっきりと意識していたわけではない」とのことですが、大戸さんは打合せの際に「室名で考えるとつまらなくなるという話はした記憶がある」と言いますから、問題意識としてお持ちだったのでしょう。

水を使う場所、つまりキッチンと浴室・トイレ・洗面所は場所も使い方も固定せざるを得ませんが、それ以外は実は自由。
ご飯を食べるのも、寝るのも、くつろぐのもどこでしたっていいはずです。
状況や気分、あるいは必要に応じて使い方が変えられる部屋やスペースがたくさんあれば、それだけ暮らしも自由になって楽しめます。

大戸さんの「室名で考えると?」という言葉は、ここはリビング、ここはダイニングと決めてしまうと、使い方まで決まってしまうよ、ということだと思います。

もちろん日常のなかで、ある程度使い方は固定されてくるでしょう。
でも、ちょっと気分を変えたいときや何か日常と違うとき、場所を変えられることは、暮らしをとても豊かにしてくれます。

なんでも受け止めてくれる空間の包容力は、まずは住まい手の自由な意識から生まれてきます。

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