6,「透明ガラスは向こうがよく見える!」
と思ったのは、実は私です。
また法律の話になって恐縮ですが、都心部では隣家へのあるいは隣家からの延焼を防止するため、開口部(窓)は「防火戸」とすることとされています。 防火戸のガラス窓は、火炎にさらされても一定時間脱落することなく耐えなければなりません。 一定時間は、指定された地域によって異なりますが、消防車が駆けつけて消火活動を開始するまでの時間が目安になっている、と聞いたことがあります。 その一定時間を耐えるために、特殊なガラス(防火ガラスなど)にすることもできますが、価格が少々高めになるので、一般的には鉄線の入った網入りガラスが採用されます。
人の目は、近くにあるものを消して遠くに焦点を当てることができるので、ガラスに鉄線が入っていても特に邪魔だと感じることは少ないのですが、やはり鉄線のない透明なガラスと比べると、その抜け感は異なります。
NH邸の3階に上がったとき、改めてそのことを痛感しました。 NH邸では、南側の2階と3階の大きな窓に、透明ガラスが入っているのです。
これは、ガラス窓の外側に防火性能のあるシャッター(雨戸)を設置したために実現できたことだそう。 NH邸は小高い丘の上にあり、南西方向を一望できるのですが、特に3階では吹抜け越しに、透明の窓から視線が遥か先まで伸びていきます。 思わずハッとするような景色は、とても気持ちよく感じられました。
視線が抜けるところを探して窓を設けるのは、建築家が得意とするところです。 景色を楽しみたい「ここぞ」という部分では、ちょっと割高になっても防火ガラスやシャッターを使って透明ガラスの窓にすることを、ぜひおすすめしたいと思いました。
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