住んでから少し時間が経過した住宅の様子を
レポーターの市川さんを通して表現しています

都内の旗竿敷地に建つ、木造三階建ての住宅。
Vol.12
旗竿敷地の住宅
- NH-HOUSE -
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4,「間口が2.5mあると、いろいろ可能性が出てくるんですよ」

52nh_0401.jpgこれは改めてNH邸の敷地を見ながら、大戸さんがつぶやいた言葉。

現在の法律では、家を建てる敷地は公道に2m以上接していなければなりません。
そのため、広い敷地を分割して分譲するときには、必要な分だけ道路に接している旗竿状の敷地が生み出されることが多くなります。

「竿」部分を通り抜けた先の、「旗」部分に家を建てなさい、ということです。

都心の場合、分譲される敷地自体が狭く、また面積が広くなるほど価格も上がって売れにくくなるため、必要最低限の2mだけ接道させた旗竿状敷地が増えてしまいます。

多くのケースで「竿」部分は、駐車スペースくらいにしか利用されません。
なぜなら2m幅では、建物を建てても使い道がほぼないからです。

民法の規定で、建物を建てる場合には隣地境界線から50cm以上離さなければなりません。
幅2mの竿部分でこれをやると両側から50cmずつ後退して残るのは1m。
柱を立てて壁を張ってとやっていれば、実質的に使える内部の幅は80cm程度でしょうか。




なんらかの特殊な使い方があれば別ですが、廊下よりも狭い細長い空間は使い勝手が悪くコストパフォーマンスもよくありません。

ところが、これが2.5mあると内部も1m以上の幅が確保できるのです。大戸さんが「いろいろな可能性が出てくる」という所以です。

NH邸の平面計画では、この「竿」部分に浴室を配置することがまず決まったそうです。

浴室は、幅1.3m、奥行き4m。いずれも芯々寸法なので、実際には少し短くなりますが、十分な広さに加えて、オリジナリティの高いユニークな空間は魅力十分です。

「お風呂が一番気に入ってします」というご主人の言葉は、建築家とともに家づくりをする醍醐味を端的に表しています。

52nh_0403.jpg 52nh_0402.jpg

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