
設計事務所が作る予算書と、建設会社の作る見積書の差を教えて下さい。
(オンライン設計室のプロジェクトから)

ポイントは、設計と施工が分離している家づくり(=設計事務所+工務店)の方法と、設計施工一体型(ハウスメーカーなど)の家づくりの方法の違いにあります。
?@設計と施工が別(設計事務所+工務店)の場合。
この場合は、通常は初期の段階で概算予算を出すのは、設計事務所です。見積書でなく、あくまで予算書であるところに注目して下さい。と申しますのは、設計事務所は、工事を請け負いませんので、あくまでも一般的な工事金額を想定した統計的に算出した工事価格だからです。ですから、設計事務所の概算予算は、実際の工事見積金額と差が出ることが良くあります。
今、ちょっと事を複雑にしていますのは、工務店から概算見積書を提出していることです。私は、今回のように、予算的にきちんと押さえる必要があるときは、あえてこの段階で、建設会社から、概算見積をとります。当然ですが、これは一番現実の工事価格に近いですから。設計事務所が、****万円であると言っても、現実に見積を取ったら大きくオーバーして、収集がつかなくなることが、多いと聞きます。要するに、ここが設計と、施工が別であるところの短所なのだと思います。それを、いつも感じていましたので、私はその短所を少しでも補うために、こういった方法を取っています。
それから、今回提出しました概算見積書は、あくまでも建設会社からの見積書ですので、本来ならばここで、内容を細かくチェックしまして、減額の交渉を行います。今の段階では、詳しいことを何も決めておりませんので、交渉したくとも、数字や仕様がありませんので、できません。ちなみに技術的な交渉が出来ることは、設計と施工が分離しているところの長所です。おそらく、ハウスメーカーなどの見積書は、詳しくチェックできない様になっているはずです。
そう言った訳で、建設会社からでた****万円そのままお渡しして、コメントとして減額の可能性をお話させていただきました。
これには、****万円にするには、皆の努力が必要ということも表現したいと思ったこ
とも事実です。
なお通常、工務店から出てくる見積書は、交渉次第で10%程度は調整できるものです。
それから、この概算をとった場合でも、工務店には、必ずしも特命ではないと条件を付けています。ですから、希望金額に遠ければ、競争入札の手段で、合い見積もりとることも、選択肢として残してあります。どちらが良いかは、クライアントと相談してから決めるべきだと考えています。
?A設計施工一体型(ハウスメーカーなど)
設計と施工が、一体ですので、特に概算予算などの施工費については、提出金額が保証されますので、クライアントの方にとっては、後からギャップがないという意味で、安心できるシステムです。但し、安かどうかは、別です。
しかし、工事金額を技術的に交渉できない、(マケロ!でなく)、工事に入ってからは、現場は工事会社の自主管理に任されるなど、不利な点も多くあります。一長一短ですね。
(オンライン設計室のプロジェクトから抜粋)
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2013年追記
2013年に、建築コストに関する詳しく解説したページをつくりました。
ここでは、木造、鉄骨造、RC造など各構造別の建築コストを詳しく解説していますので、そちらもぜひご覧ください。