オンライン設計室
Vol.06:家族の希望1_多目的ルーム
(2004/10/16)
■外部に開いた多目的ルームをつくりたい
この住宅において多目的ルームは今回の設計で、特徴的なスペースです。全体計画において、必要な各居室を取ると、スペースはかなりタイトなのですが、それでもプラスαとしての多目的ルームは家族にとって、必要不可欠なものでした。
多目的ルームは、家族がくつろぐという意味のリビングルームとは異なります。
ある程度、この家族の枠を越えた半公共的な意味を持つ部屋であり、これは普通の典型的な住宅にはないものだと思われます。住宅の中に、外部が入り込むという形態は、かなり珍しいと考えられます。
私にとって閉鎖的になりがちな現代住宅の計画において、とても新鮮に思えます。

同じようなビルディングタイプが思い浮かばないのですが、敢えてたとえるなら町内会の集会所が住宅と合体したようなイメージです。
その利用形態をまとめると以下の通りです。
○地区拠点として
この家族は、この地域の創価学会の拠点の役割を担っています。だからかなりの頻度で地区の人々を集めた集会に使われます。これまでは、集会は居間を使って行われていたので、不特定な人の出入りもあり、家族のプライバシーが少々犠牲になっていたようです。
ですから、家族のためにプライバシーがある程度守れるようなつくりも同時に要望されました。
専用の給湯やトイレなども設備も要望されました。またお年寄りも多く集まるそうなので、配慮が必要になります。面白いところでは、相撲の力士も来られることがあるそうです。
○来客の宿泊部屋として
お話を聞いていると、家族の親戚や知人などの多くの方が、この家族を訪ねてきて、宿泊していくようです。そういった方々の受け皿としてのスペースになります。布団の収納スペースなども同時に必要になってきます。
○楽器や歌の練習室として
kiさんの姉妹が、声楽や楽器の演奏をされるので、多少の音を気にせずに、練習できるスペースとして使います。幸い南側は、運河に面しており、高速道路も通っているので、少々の音を出しても大丈夫だと思われます。運河を背景にして、演奏会が行われることが楽しみです。
何度も打ち合わせを重ねいくうちに多目的ルームは、ある意味でこの家族を支えている根幹的なスペースだと感じられるようになりました。一般的には個人的な住宅に、外部の他者を受け入れる暖かさがこの住宅を支えている一番重要な要素であるような気がします。
そういった意味で、多目的ルームを、大切にしていくように設計を心がけました。
- Vol.01:質問箱へメッセージ
- Vol.02:相談その2
- Vol.03:家族の紹介
- Vol.04:設計条件1_環境
- Vol.05:設計条件2_古いモノ
- Vol.06:家族の希望1_多目的ルーム
- Vol.07:家族の希望2_水廻り
- Vol.08:4階建ての計画
- Vol.09:3階建ての検討
- Vol.10:工務店の決定から古屋の解体
- Vol.11:起工式から地質調査
- Vol.12:杭工事
- Vol.13:鉄骨製作
- Vol.14:鉄骨建て方
- Vol.15:ALC外壁工事
- Vol.16:仕上げ工事・その1
- Vol.17:クライアントのこと
- Vol.18:内装工事その2
- Vol.19:外装仕上げ工事
- Vol.20:外部完成写真
- Vol.21:内部完成写真
- Vol.22:3ヶ月後の姿(飯村昭彦氏撮影)
- Vol.23:2年後の姿
- Vol.24:事例集に掲載しました。
- Vol.100:日常の風景