4.わかりあう夫婦で下町に住む
YA邸の建つ地域は古い、いわゆる下町の風情を残したところです。ご主人は「結婚してこの家を離れたので、30数年ぶりに帰ってきた」ことになるそうですが、それでも「近所の人はほとんど知っている」とか。
ただ、ご主人は「生まれ育った場所に帰る」でいいとしても、奥さんにとっては初めての土地。60歳を過ぎての「下町デビュー」は苦ではなかったのでしょうか。
「近くに、よく行く喫茶店があって、土曜日の午前中には近所の方たちもよく集まっているんですけど、皆さんとってもよくしてくださいます」と奥さん。
米や醤油の貸し借り、はさすがに現代ではないのでしょうが、旅行に行った際の手土産やおかずの差し入れなどは普通にあるようです。「(ご主人の)YAさんのパートナー」ということで、近所の人があたたかく迎え入れてくれている点もあるでしょう。でもやはりポイントは本人の人柄。頻繁に行き来する下町の雰囲気を、心から楽しんでいるのが伝わるからこそ、ご近所も受け入れてくれるのは言うまでもありません。
「将来、具合が悪くなったときには施設に入ることなども考えないといけない。でも私は人づきあいが得意ではないので、できるだけ長くここで暮らしたいんです。だからエレベーターも入れた。この人は施設でもどこでも苦にしないでしょうけどね」と笑うYAさん。
つまりご主人は、下町に移っても、奥さんが周囲とうまくやっていけるとわかっていたから今回の新築計画も進めた、といってもよさそうです。
お互いが相手を理解し、ふれあいの多い下町生活を楽しんでいる様子は、うらやましいものがありました。

YA-HOUSEの出来上がるプロセスは、
<建築計画網・大系舎 HP> → <オンライン設計室>→<No.22 YAさんの場合>
を参照ください。
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