7.BBSというコミュニケーション
KT邸の工事を進めるにあたっては、BBS(Bulletin Board System、電子掲示板)が利用されています。普通は関係者以外閲覧禁止のところ、今回の取材にあたって、特別にそのやり取りを見せていただきました。
システムを簡単に説明すると、日本語訳の通り、関係者だけが見られる掲示板のようなもので、ここに施工者、設計者、そして建て主が、必要なことを書き込んで連絡を取り合います。
建て主にとってありがたいのは、家にいながら現場の様子がわかること。
特に、工事初期で、素人が行っても邪魔になりかねない時期には、大変うれしいツールです。敷地が離れていると、現場の進捗状況はよくわからないものですが、ここを見ていれば、現状がわかります。
専門的な言葉も多いので、コメント内容すべてを理解するのは難しいでしょうが、「確実に作業が進んでいる」ことを実感すれば大きな安心感につながるし、安心感は施工者や設計者への信頼感を増幅させてくれるでしょう。
また、建て主以外で嬉しいだろうと思うのは、いろんな職人さん。
職人たちが直接BBSに参加するわけではありませんが、KTさんの奥さんが、「現場に行って職人さんに会ったときに、サイトの写真で見ていたので、初めて会った気がしませんでした」とおっしゃっていて、依頼主と職人の距離を縮めるのに役立っているのがわかります。
要するに、現場をとても身近に感じさせてくれるツールがBBSなのだと思います。
現場では、職人たちは現場監督の指示で動くため、直接建て主と接する機会はほとんどありません。
でも、建て主の顔が見えれば「この人の家をつくっている」という自覚が出るし、作業する気持ちも違うはずです。
現代の住宅では、工場生産の部品がたくさん使われますが、まだまだ現場で、人の力でつくっていく部分が多いのが現実です。
BBSという新しいコミュニケーションツールは、実は昔は当たり前だった人と人のつながりを後押ししてくれる、とても人間くさい道具のようです。
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