5. 3階LDKとメリハリのつけ方

 KT邸の3階には、明るいLDKが広がっています。
造り付けにした大きなダイニングテーブルも、KTさんご夫妻は大変お気に入りのようでした。
造り付け家具の最大の魅力は、空間に合わせたサイズ・デザインでつくれるということ。
KT邸のテーブルは、2人で使うには大きすぎるほどのサイズですが、作業スペースにもなり、引き出しにはさまざまなモノが収納され、小さなスペースを有効に、かつ快適にする仕掛けが詰まっています。
おそらくご夫妻も、実際に使ってみて、このテーブルの良さを再認識されたのではないでしょうか。
スペースがないからとすべてをコンパクトにするのではなく、逆にある部分を大きくすることでメリハリが生まれ、使い勝手もよくなるという好例だと思います。
また、最上階の特長を生かして、部分的に天井高を高くしているのも効いています。
KTさんも「この窓がいいんですよ」と、吹抜け状の上部の窓を絶賛。
このタイプの小さな吹抜けは大戸さんの得意とするところですが、光の入り方、風の抜け方、部屋の隅々にまで与える落ち着きあるいは開放感など、KT邸では特に効果的に機能しているように見えます。
高さだけでなく、3階のスペースや窓の大きさなどが、いいバランスで構成された結果だと思います。
この3階のLDK、大戸さんの数ある設計のなかでも、ベストいくつかに入るくらい、完成度の高い、気持ちのいい空間になっているのではないでしょうか。

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