5,下町の家・1階の使い方
敷地に余裕のある郊外の住宅の1階なら、玄関と浴室・洗面所、それにLDKが置かれる間取りが一般的だと思われます。
ところが密集地で家を建てる場合には、1階には陽射しが十分に届かないことが多いため、LDKが2階より上に置かれることは珍しくありません。
特に敷地が10坪台の下町の家では、エレベーターが設置されることも多いので、生活の中心となるLDKが3階や4階になることもあります。
その際に一考したいのが1階の使い方。
日当たりの悪い1階には、浴室や寝室など、夜使うことが多く、陽射しがあまり求められない用途の部屋が置かれます。
しかし思い切って、その一部を人に貸すという選択肢も考えてよいのではないでしょうか。
なぜ下町で家が密集するかといえば、多くの人が少ない土地を分け合うからです。土地の供給を、はるかに需要が上回っているのです。
つまり、そこを使いたい人はたくさんいる、ということ。
家を建てる場合、一部をワンルーム住宅などの賃貸スペースにするケースはときどき見かけますが、若い人向けの賃貸住宅は出入りが多く、空室となるリスクがあり、またどんな人が入るかわからない不安もあります。
その点、下町人脈を生かして知り合いにお店をやってもらえれば、安定した家賃収入が得られるでしょう。
もちろん実行前には、専門家に相談して権利関係などもきちんと整理し、後々トラブルにならないようにする必要があります。
ただ、その覚悟があれば貸す側には定期的な収入となり、借りる側にとっても一等地でお店が営業できるというよい関係がつくりだせるはず。
As-houseを見ながら、下町の家の1つの可能性を感じたのでした。
(文/ 市川隆)
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