オンライン設計室
02:耐震診断と補強計画
(2024.08.01)
まずは耐震診断を行い、現状の耐震性能を確認しました。
木造の耐震診断は、壁量やそのバランス、接合部や基礎の仕様、劣化度など、現地調査を行い、現在の基準と比較してどの程度の耐震性能であるかを評価します。
(既存の柱梁架構をチェック。躯体があらわしになっているため、わかりやすい。)
(床下のチェック。コンクリートの基礎は確認できない。)
その結果、現在の基準を1.0として、この建物の上部構造評点は0.1。
100年以上前の建物ですので、想像通り低い評価となりました。
この上部構造評点を、現代の基準1.0まで高められるように補強計画を進めていきます。
主に以下の補強を行い、
1.基礎の新設
現状の建物は束石の上に建てられた玉石基礎で、基礎としっかり接合されていないため、鉄筋コンクリートの基礎を新設し、しっかりと躯体と接合させます。
2.耐力壁の新設
確認できた範囲では、既存の建物に筋交等の耐震壁は確認できませんでした。
そのため、既存の内壁をはがし、平面計画や上下階のバランスを取りながら、必要量の耐震壁を新設して、現代の基準にあった金物で固定していきます。
3.床面を固めて、剛性を高める
既存の2階床は、梁の上に荒床といわれる杉の板を渡しているだけであるため、構造用合板で水平面を固めて、剛性を高めていきます。
これらの補強で上部構造評点が1.0以上になることが確認できました。
(耐力壁の配置と金物補強の検討)
(補強後の耐震性能は、1.11)
この補強計画でリノベーション工事に取り掛かります。
ただし、工事前は非破壊による調査のため、工事を行ってみないとわからないところが多くあります。
工事が始まってからが、再度確認し、状況に合わせて変更調整を行うことが大事です。