5.窓拭きと新技術
前回、庇の話を書きましたが、SB邸のようなビル状の建物はちょっと事情が異なるようです。というのは、ガラス窓の掃除を考えると、通常の住宅と同じようには扱えない場合もあるからです。
もともと深い庇というのは、建物全体の足元を守るための工夫だったそうです。雨をできるだけ建物から遠くに落として、板壁や土台を水に触れさせないようにする、ということです。
雨が吹き込むのを防ぐように窓のところだけ庇を付けるようになったのは、わりと最近のことと考えられます。

庇は、開けてある窓から雨が降り込むのをある程度防いでくれますが、それは窓に雨が当たらないことを意味します。ところが雨がガラスにかかれば、ガラスに付着していたホコリなどの汚れを一緒に洗い流してくれるというメリットもあり、それだけを考えれば庇は邪魔者となるわけです。
窓の清掃が難しい高層のビルに庇がないものが多いのは、そういう雨による「掃除」を期待しているのかもしれません。
 SB邸の場合、大戸さんは窓拭きによって窓をきれいにする前提で設計しているそうです。ただSBさんは「網戸が邪魔で掃除はしにくい」とのこと。もう少し使い勝手まで踏み込んで、掃除がしやすい工夫があるのかもしれません。
ただ、窓位置が高ければ外に体を乗り出しての掃除はどうしても危険が付きまといます。そこで話題になったのがここ数年で需要を伸ばしている光触媒やナノ親水の技術。SB邸も壁面は光触媒の塗料が塗られています。
これらは光や水と反応して、付着した汚れを洗い流してくれます。まだ実際の効果について確かな評価はないようですが、私が知る限りでも採用例は増えています。
ビル状の高い位置の窓だけでなく、小さな住宅でも拭きにくい位置の窓にはこれらの技術を活用し、雨が勝手にきれいにしてくれる日はそう遠くないように思いました。

SB-HOUSEの出来上がるプロセスは、
<建築計画網・大系舎 HP> → <オンライン設計室>→<No.22 SBさんの場合>
を参照ください。
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