住んでから少し時間が経過した住宅の様子を
レポーターの市川さんを通して表現しています

目黒区に建築された鉄骨3階建て住宅。中庭とスキップフロアーの構成が特徴です。
-Vol.3-
スキップフロアの敷地18坪・2世帯住宅
- HM-house -
« HM01  HM02  HM03  HM04  HM05  HM06  写真  図面  概要  » 家づくり・リストへ戻る »

6.狭小敷地と法規制のメリット

 

 オンライン設計室No.12 HM-HOUSEを見ても、HM邸の場合、敷地条件がかなり厳しいのがわかります。
敷地面積は約18坪。建ぺい率60%、容積率200%ですから、一般的な住宅地(建ぺい率40%、容積率80%など)と比べると恵まれていると言えますが、第一種高度地区という厳しい斜線規制は住宅地と同様なので、斜線に従ってボリュームを決めると、建物の大きさもおのずと限られます。

一般に、都市部の狭小敷地では、法律の規制によって建物の大きさや形がほぼ決まってしまいます。HM邸もその例に漏れず、かなり早い段階で大戸さんからスキップフロアの提案がなされています。要望の床面積を確保するにはこれしかありません、というかなり決定的な提案です。

 法律の規制などで建物の形や大きさが決まるのは煩わしいことですが、しかしマイナス面ばかりでもありません。枠が決まっている分、「この枠のなかで一番いいものをつくろう」という、一種の割り切りが早い段階でできるからです。

 私は、家づくりの成功のポイントの一つは、「欲張らないこと」だと考えています。
一生に一度の家づくりだからたくさんの夢を叶えたいのはわかりますが、あれもほしい、これもほしい、で結局みんな中途半端、というのが最悪。ただ、口で「希望の優先順位を明確に」というのは簡単ですが、実際にはなかなかあきらめきれません。
 ところが狭小敷地や極端なローコストの場合、計画自体、無理を承知で進めるので、変な色気が出ないようです。 HM邸でも、ご主人の「家が建つだけで十分」という、とても控えめな様子が印象的でした。

 建主の満足度は、家の広さや形とはまったく別のもの、という思いを改めて強くしたHM邸でした。 (文:市川隆)

 


HM-HOUSEの出来上がるプロセスは、
<建築計画網・大系舎 HP><オンライン設計室><No.12 HMさんの場合>
を参照ください 

(PREV)← →(NEXT)
« HM01  HM02  HM03  HM04  HM05  HM06  写真  図面  概要  »