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2010年6月 5日
3,4階建て住宅の設計術_その3
その3 - 階段を考える
狭小住宅において、上下階をつなげる階段は、設計上最も大切の要素です。
特に3,4階建てになると、階段の登りやすさは、家の快適さをつくり出す上でも絶対に必要な条件です。
階段の登りやすさは、各階とのつながりの良さを生み、その結果家全体がつながりの良い一体的な空間をつくることができます。
ですから、私はまず初めにその家にふさわしい階段の設計を、一生力を入れて考えます。踏面の広さ、蹴上げの高さをシビアに考えることが必要です。
ところで、勾配が緩く、登りやすい階段は、平面的に広い面積が必要になります。
しかし、狭小住宅では、階段室を広く取ると、居室が削られるので、階段を広く取りすぎることは問題があり、結局全体の中でのバランスが大切です。
また階段は、人間が通るだけの空間だと思われがちですが、実は光や風の通り道にもなります。
一般的に都心部の狭小住宅では、周囲に建物がせまっているので、1階や2階などの下階では、光を採ることが難しくなってきます。
そこで、階段室を中庭のように考え、光を下に落とすことで、下階を少しでも明るくするといった工夫も良く行われます。
ただし、そのためには、階段は板を置いただけの形状、つまり蹴上げを空けることで作りますが、しかし一方それは小さなお子さんにとっては、落下という危険な要素になりがりですので、注意が必要です。
さて、もう一つ階段室まわりの工夫を紹介します。
鉄骨構造の階段室では、柱・梁の凸凹の影響で、微妙に余りのスペースが生じます。
その余りのスペースを使って、収納をつくることがあります。
ある程度プラスαの予算が必要になりますが、本屋、置物などの収納を壁面一杯につくることが可能です。
このように、狭小住宅の階段は、人が住む居室ではありませんが、住宅の快適性を左右する重要な要素です。
ですから、階段のデザインは狭小住宅の質を高めるためにも大切に考えなければならないと思います
投稿者 ooto : 2010年6月 5日 17:05 ツイート