« 目黒不動尊の狛犬 | メイン | NO.30_HT-HOUSEがようやく着工 »

2008年4月24日

レーモンド「高崎哲学堂」

先日、高崎で開催されているレーモンド展に行ってきました。

アントニン・レーモンドは戦前、戦後に活躍した近代建築家で、日本に40年近く滞在していたこともあって、国内にレーモンド設計の建物が数多くみられます。今回の展覧会では、高崎の「群馬音楽センター」と「高崎哲学堂」と美術館での展示物を見ることができます。「群馬音楽センター」と「高崎哲学堂」は実物の建築に振れることが出来るので、とても楽しめました。

20080424_01.jpg


この中の高崎哲学堂は、レーモンドの麻布の自邸を、ほとんどそのまま写した木造平屋建ての住宅。これがとても気持ち良く、考えさせられる建物でした。スケール感、玄関から繋がるパティオ、深い軒、居間の北側の高窓、居間と寝室とパティオとの関係など。派手さがあるわけでもなく、シンプルなのですが、とにかく気持ちの良いものでした。

20080424_02.jpg


この気持ちの良さは、今の住宅では感じられない感覚です。それは影にあるように思いました。今の住宅は、直射日光がどこまでも届いて、壁は白く、どこにいても明るい住宅をつくることがほとんどで、それが施主の希望であることが多いです。

20080424_03.jpg


高崎哲学堂は、深い軒で、直射日光をほどよく遮り、居間の北側の高窓からは緩やかな光が入ってほどよくあかるい。室内は薄暗いのですが、南面の全面開口の窓からは見る明るい庭が見えます。玄関から廊下を介してつながる明るいパティオ。北側採光の天井の低い廊下など。とても気持ちがよく、落ち着く場所がたくさんありました。「陰影礼賛」です。

20080424_04.jpg

古い建築物をみると、今の建築のあり方を毎度考えてしまいます。(森川)

投稿者 ooto : 2008年4月24日 12:14