« 最近の工事費事情 | メイン | いろいろ »

2007年5月 1日

ご近所とのバーベキューから考える住宅地

 連休のはじめに、ご近所と、バーべーキューをしました。
晴天だった4/29(日)の夕方から、この区画のご近所の家族総出で、家の前の道路を使って行われました。
各家庭から食べ物、酒、飲み物などを持ち寄り、幼児から60才近くの熟年までの総勢約30名近くで、楽しく催されました。

20070501_01.jpg

 私が、この土地に引っ越して、4年以上が過ぎましたが、この住宅地のご近所で毎年2、3度、バーべーキューや忘年会などを行います。今では比較的珍しいかもしれませんが、ご近所の仲が大変良いのです。その理由は清瀬という都心から少し離れた田舎という土地柄もあるかもしれません。


 ただ、建築的に観察してみるといくつかの建築計画的な好条件が重なったのではないかと思います。

 まず、土地の区画ですが、9戸の住宅地から成立しています。程良い大きさ、まとまりの住宅地です。
そして道路は、通り抜け出来ない、いわゆる突っ込み道路で、外部の人は、少し入りにくい雰囲気があります。
道路は、住まいの自家用車以外は、宅急便や来客の車だけで、小さな子供が遊んでも、安全です。

20070501_02.jpg


 以上のように、この道路空間は、たとえて言うと、丁度中庭のような形状になっているのです。
9戸の住宅が取り囲んでいる中庭状の空間なのです。この空間は、日当たりも良く、緑も多い、明るく、交通的にも安全な空間です。

 またこの道路に面する全ての駐車場には屋根が着いていません。だから道路から駐車場、住宅と空間的な開放性、連続性が感じられます。

 また各住宅の門には、門扉が着いていません。高い塀もなく、自由に出入りが可能で、各住宅の居間から道路が見えます。

 そんな訳で、この住宅地には、泥棒がまだ一度も入っていません。この地域に泥棒が入らない訳ではなく、裏の街区では、昨年に泥棒が入ったという話を聞きました。

 またデザイン的には、建築条件付宅地の土地ですが、このうち自宅を含む2件は建築条件を外して、異なった建築家の設計で、住宅が適度にバラバラに建てられており、自由な感じがします。

20070501_03.jpg

以上のような条件が整い、住民の一体感、親密性などを形成しているのだと感じています。

 もちろん気の合う住人が揃った偶然性もありますが、ある程度ハードが人間関係を受け入れる素地をつくるのだと思います。都心部では、効率優先の住宅地が多く、孤立した住宅になりやすい傾向にあります。ご近所と人間関係のかなりの部分は、住宅地の作り方にあるのだと、つくづく感じています。

 ただし、もちろん私が全体を設計したわけでもなく、単に購入者の一人なので、偶然の産物です。もちろんこれらのハードが揃えば必ず近所の関係がスムーズに行くとは限りません。

 しかし、住宅設計者の目から見ると、今後の住宅街区づくりの重要なヒントが隠されていると感じています。

投稿者 ooto : 2007年5月 1日 09:13