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2007年3月22日

書籍の紹介

今日は、書籍の紹介です。

書名は、『住に纏わる建築の夢』で、著者は住宅構法研究の第一人者である松村秀一氏です。

はじめに目を引いたのが、サブタイトルにある『ダイマキシオン住居機械からガンツ構法まで』のガンツ構法。はじめて耳にする構法で、専門家である自分の勉強不足を恥じました。
ただし内容を読んでいくうちに、この構法を知らなかったことは、まあいいかなと安心出来ました。
この理由については、本書の魅力の根幹なので内緒にしておきます。
気になる方は、ぜひ本書に目を通してください。


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さて、この本の内容は住に対する、計画者の夢、もっと簡単に言えば、計画者の当初の目標と、現状を概観し、今後の話に繋げていくという展開で書かれています。

ところで、ここで書かれている計画者とは、いわゆる住宅をデザインするコルビジェやミースなどの建築家と言われる人よりも、エジソン、バックミンスター・フラー、ジャン・プルーヴェなど、建築家という枠に納まらない創造家とでも言って良い人たちの住に関わる創作活動にいつて書かれています。
おそらく新しい枠組みを壊していく人たちは、どこの世界でも既存の保守勢力ではないということでしょうか。
ここでは20世紀の建築の夢は、アフォーダビリティー=入手し易さであると、様々な角度から述べています。


後半は、今後何に向かって、住の夢が描かれていくかを、居住環境という視点で述べられています。
このようなスタンスの著書は、日々目の前の雑事に追われている私のような設計者に対しては、近視眼的になりがちな設計活動を、一度目を離して、大きな視点で舵取り修正を促すという意味で、とても刺激的なものです。

また、一般的に住宅構法研究者とは、住宅を材料や構法という”もの”だけの視点で捉えがちになると思いますが、この著者の視線は、ものを支えている、居住者という個性のある”人”が、結局は重要であるという点で、とても奥が深い視点だと感じました。

私自身も建築設計とは、単なる形のデザインではなく、人、つまり住まい手との関わり合いのなかで、なされるべきであると考え、日々試行錯誤していますが、人が相手ほど難しいことはないと日々感じています。

投稿者 ooto : 2007年3月22日 11:56