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2006年12月20日

追悼、大工塩釜さん

大工の塩釜さんの訃報を、人づてに聞きました。

一般的には、競争入札が原則ですので、同じ工務店が何度も続くとは限らないので、同様に同じ大工と何回も続いて仕事が出来るチャンスは、なかなかありません。

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塩釜さんは、長野工務店の抱えの大工であったので、幸いにもNO.14_ST-HOUSENO.17_NA-HOUSENO.18_SH-HOUSEと続いて、大工工事を担当していただきました。
またそのほかにNO.13_FT-HOUSEのSE-構法の躯体などをいくつか担当してもらいました。


大工と設計者の関係ですが、簡単に言うと、設計者が書いた図面通りに、具体的な木の加工を通して、ものをつくってもらうわけですが、実際にそうは簡単ではありません。

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現実には、図面による表現には限界があり、不明部分は、話し合うなどの、大工とのコミュニケーションが必要です。
時には図面が間違っていたり、また特に難しい注文を出したり、時にはイメージだけが先行してしまい、図面が書けずに大工に知恵を出してもらったりなど、ものつくりの現場ではいろいろな場面に遭遇します。

大工と上手く仕事が進めば、お互いの短所を、埋めあってより良いものが出来るものです。
しかし、大工によっては、自分の解釈でどんどん進めてしまって、あとで、問題になることも時としてあります。

そういう意味では、塩釜さんは、常に気持ちが前向きで、設計者の気になるところを常に押さえてくれるので、助けられたことが多くありました。
職人としての勘所が良いと言うのでしょうか。
設計者としては非常に仕事がしやすく、また笑顔を絶やさない彼の現場は楽しかった思い出があります。

そういえば、ある時に、昔の自分がはじめてつくった御輿の写真を、嬉しそうに見せてくれたことがありました。職人には、忘れらない仕事というのがあるのでしょう。
そういう意味では、はじめて塩釜さんに出会ったNO.14_ST-HOUSEは、忘れられない思い出です。

ものをつくる現場は、みんながポジティブな気持ちでいれば、良いものが出来るという確信があります。
塩釜さんの担当してくれた現場には、そんな雰囲気がありました。

そういう意味では、彼の逝去は最近にはないとても悲しい出来事でした。

謹んでご冥福をお祈りいたします。

投稿者 ooto : 2006年12月20日 18:51