TAIKEISHA 建築計画網・大系舎ロゴ

オンライン設計室

家づくり・リストに戻る

NO.22_SB-HOUSEができるまで

01:最初のメールから

(2004.秋)

はじめまして

はじめまして、東京、○○区に住むSBです。
今、実家の斜向かいに家を建てようと思ってます。

敷地は、33メーター通りの南に面した場所で、間口、5メーター 奥行き10メーター弱、東側は、隣が隣接していて境界ぎりぎりに建ってます。
西と北は、境界ぎりぎりで壁がありますが北の壁はこちらの境界内にあるため壊す予定です。
○○区の商業地域、防火地域、建ぺい率80%、容積率700%の約15坪の現在駐車場の状態です。

そこに夫婦と三姉妹の子供で計5人で住むつもりです。
予算は、○○○万を目安に鉄骨4,5階で何とかしたいと思ってます。1階は、駐車場でできれば縦2台と5人分の自転車置き場、5人分のスキー道具、やスタッドレスタイヤなどのを置きたい為最低限のつくりでいいのです。

2階から4階に子供のフロアー、LDK、夫婦の寝室兼洗濯、風呂と5人分の洋服収納部屋、妻の作業場所(アイロンがけなど)、私の趣味室が欲しいのです。
予算が大幅に足りないのは、仕様を削りながら考えたいと思い無理を承知で希望することを大まかに書きました。

また、実家で私たちは○○○を両親と経営してます。そこは5階建て鉄骨のエレベーターなしです。
数年前、祖父が亡くなる前は風呂や病院などそのつど私が、背負って階段を下りたり、両親が付き添ったりして大変な思いをしたのです。

そこでホームエレーベーターも検討したいのです。4階までで構いません。
ただ整備費などがかかると思うので1年でどれくらいかかるのか、また、後付できるように準備だけして建設コストを下げたほうがいいのか知りたいのです。

そして1階、2階は子供が独立したら商売ができうようにガス管、上下水道の工事がしやすいような構造にして欲しいのです。

ちなみに20年前に賃貸ビルを建てる予定で設計図を作成したことがあり、鉄骨5階の地表から22メーター強の地点まで杭を6本打つ基礎だったと思います。

ただ、近所ではおそらくべた基礎と思われるの4階建てののビルもあります。
勝手にこちらの思いを書き並べてすみませんが、宜しくお願いします。 SB



--------------------------------------------------------------------------------

RE:はじめまして

こんにちは、SBさん。建築計画網・大系舎の大戸です。

この度は、メールいただきましてありがとうございます。
メール拝見させていただきました。

実は当事務所で、現在建築中の、住宅(KI-HOUSE)はお隣の○○区です。
ですから、○○川の反対側ということになりますね。
やはりここは、SBさんの建築予定地と同じように商業地域になります。

間口が6メートルで、奥行き13メートルなので、SBさんのお宅より一回り大きい住宅です。
ですから、同じような住宅を手がけておりますので、感覚的に理解できるつもりです。
それでは、この両国の住宅を念頭に置きながら、コメントさせていただきます。

> はじめまして、東京、○○区に住むSBです。今、実家の斜向かいに家を建てよう
と思ってます。敷地は、33メーター通りの南に面した場所で、
>間口、5メーター 奥行き10メーター弱、東側は、隣が隣接していて境界ぎりぎり
>に建ってます。西と北は、境界ぎりぎりで壁がありますが北の壁はこちらの境界内
>にあるため壊す予定です。○○区の商業地域、防火地域、建ぺい率80%、容積率700
>%の約15坪の現在駐車場の状態です。
■現在は、越境があるほど、周りは、一杯にせまっているのですね。
商業地域では、耐火建築であれば、敷地にいっぱい(100%)建築することは可能です。
ただしその工事は内側から、行う必要がありますので、少し難しい工事になります。

> そこに夫婦と三姉妹の5人で住むつもりです。予算は、○○○○万を目安に鉄骨4
>.5階で何とかしたいと思ってます。1階は、駐車場でできれば縦2台と5人分の
>自転車置き場、5人分のスキー道具、やスタッドレスタイヤなどのを置きたい為最低
>限のつくりでいいのです。2階から4階に子供のフロアー、LDK、夫婦の寝室
>兼洗濯、風呂と5人分の洋服収納部屋、妻の作業場所(アイロンがけなど)、私の趣
>味室が欲しいのです。予算が大幅に足りないのは削りながら考えたいと思い
>無理を承知で希望することを大まかに書きました。
■条件に関しては、良く理解できます。
5人家族と言うことを考えると、ご希望も頷けます。
また予算は、どの計画にも必ず付きまとうので、そのバランスをどこで押さえるかと
いう点が、設計で重要だと思います。
工夫すると、意外と不要なものが多いことがあるものです。
また何かと兼用できたりすることもあります。
その決断と、発見の連続が設計と言っても過言ではありません。

> また、実家で私たちは○○○を両親と経営してます。そこは5階建て鉄骨のエレ
>ベーターなしです。数年前、祖父が亡くなる前は風呂や病院などそのつど私が、
>背負って階段を下りたり、両親が付き添ったりして大変な思いをしたのです。そこで
>ホームエレーベーターも検討したいのです。4階まで構いません。ただ整備費
>などがかかると思うので1年でどれくらいかかるのか、また、後付できるように準備
>だけして建設コストを下げたほうがいいのか知りたいのです。
■やはり5階まで歩くのは、大変ですね。
ビル建築に近いひょろ長い住宅には、ホームエレベーターがあると便利です。
KI-HOUSEの計画でも、エレベーターは必需品でした。
その理由は、ご老人がいることが第一にあげられます。
また、地上に近い階が便利とか、そういうことを考えずに、どの階でも自由な配置が可
能になります。その結果、KI-HOUSEでは一番上の階にLDKがあります。

但し、エレベーターは、初期に約200万円ほどの出費が必要となります。
しかし、今年から点検整備の義務化が緩和され、定期整備を受けなくて良いようになり
ましたので、ランニングコストは大幅に減りました。
(これまで確か年間5万円程度必要だった)

また、現在お若い(?)のであれば、コストダウンのために、将来設置という可能性を
残した計画にすることも一つの方法ですね。

> そして1階、2階は子供が独立したら商売ができうようにガス管、上下水道の工事
>がしやすいような構造にして欲しいのです。
■なるほど。そういったことが将来ビジョンをお持ちなのですね。
予め計画しておくことは、大事なことですね。
家族は流動的に変化していくものですからね。

> ちなみに20年前に賃貸ビルを建てる予定で設計図を作成したことがあり、鉄骨5
>階の地表から22メーター強の地点まで杭を6本打つ基礎だったと思います。
>ただ、近所ではおそらくべた基礎と思われるの4階建てののビルもあります。
■そうですか。やはりこの地域も、地盤が良くないのですね。
実は、KI-HOUSEの敷地では、杭の長さが実に35メートルもあります。
地質調査の結果、支持地盤が大変深いことが分かりました。
また、地表に近い地層に、液状化現象(揺れると耐力がゼロになる)を引き起こす可能性が高い層があります。

近隣を見渡すと、3階建てレベルは、杭を行わないものも多いようです。
というのは、3階建てレベルで、35メートルの杭は、コスト面からも非常にアンバラン
スに見えるからでしょう。

この計画段階で、杭設置するかどうか、するならどのような工法にするかで、かなり検討
が行われました。

区役所に聞くと、杭が無いベタ基礎でも認めるといいます。

しかし、役所はいいと言っても実体は、地上近くは地耐力がほとんどありません。
もし、地震が来て崩壊しても、役所は何ら責任はとりません。
非常に無責任な話だと思います。

結論からいえば、固い層が深くても支持層まできちんと、杭をつくろうということにしました。

杭工事で、地中の土を見ると、中間層の土は、個体というより液体に近いほどゆるいモノでした。
ちょうど、シュークリームくらいのヘドロのような柔らかさでした。

そういう意味で、きちんと杭を打って良かったねと、施主と再確認した次第です。

いわゆる砂上の楼閣にならないように、杭はきちんと設置すべきだと私は考えます。

もし何か不明な点などあれば、お気軽にご質問下さい。
詳しいお答えは、現地を見ないと分からないので、お呼び下さればそちらに伺います。
また、お気軽にご相談下さい。

と言うことで、今日は失礼致します。