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2016年7月30日
昔のリベットボルト工法
建築家の小島健一さんからの情報で、昔の鉄骨リベットボルトの工事風景を見られるとのことで、現代建築資料館で開催中の『資料にみる近代建築の歩み』展に行ってきました。
私の祖父は、このリベットボルト職人の親方をしていたのですが、実際どのように工事をしているか見たことがなく、非常に関心を持って見学しました。
灼熱のボルトを使うリベットボルト工事は、あまりに危険な工事で、現代では、常温の高力ボルトに置き換えられています。
しかし、今見てもこのリベットボルトの古い鉄骨構築物の美しさは、人の手仕事を感じられるからでしょうか。
このリベット工法は、かちどき橋、萬年橋、曙橋など、昭和30年代までの鉄骨構造に使われていたそうです。
ここでは、工事の様子が分かるように、会場で流れていたビデオから、カットで繋いでみました。
1,簡単に言うと、釜で焼けたリベットボルトを、投げ手がジョイントの工事箇所へ投げる。
2,受け手がメガホンのような工具で、焼けたボルトを受けとって、穴に差し込む。
3,反対側からピストルのようなプレス工具で、両側から押さえて冷やされれば完成という工程です。
体育館のような上部の梁でも、下から真っ赤なボルトを放り投げて、上で受けるというサーカスのような考えられないよう危険な仕事でした。
私が子供の時、祖父がいつも指先で独特のリズムを刻んでいたのを記憶しているのですが、この投げ手と受け手の呼吸を合わせるための合図だったことがよく分かりました。
今回祖父の仕事の一端が垣間見られて、とても嬉しかったし、誇りも感じました。
なお、近代建築全般が見られるこの展示会は、日本が建設の時代の活き活きとした姿が見られます。
(ただし7月31日まで)
・焼けたボルトを受けるメガホンのようなグローブと、ボルトのつかみ工具。
・奥は、焼けたボルトを押し込んで、固定するためのプレス工具。手前は押さえ工具か?
■以下は、昭和3年竣工の大阪瓦斯ビルの工事現場ビデオから。
・釜の中の真っ赤に焼けたリベットボルトを掴む。
・釜から取り出し、工事部位へ投げる準備。
・焼けたボルトを、ヒョイと投げる
・受け手が、メガホンのようなグローブで受ける。
・焼けたボルトを穴に差し込み、反対側からプレス機で押さえる。
・冷えれば完成。ものすごいボルト量。
・曙橋。
・リベットボルトは美しい。ちなみに、足元は高力ボルト。両者が混在した時代なのでしょう。
投稿者 ooto : 2016年7月30日 11:27 ツイート