5.庇はほしい!
最初に自転車置き場の話をしましたが、もう一つ、私がチェックするポイントに庇があります。
 陸屋根やゆるい勾配屋根の箱型の家では、意識的に庇をつけないと窓は壁面にベタに取り付けられます。
特に気になるのが引き違いで開けられる窓。雨の日、窓を開ければ雨はそのまま室内に吹き込みますから、開かずの窓になるわけです。風通しのよい、庭に面した大きな掃き出し窓だったりすると、これは悲惨。建築家が採用するカッコイイサッシには、公団仕様のような換気窓などもちろんありませんし、雨の日、室内はエアコンに頼る以外ないのです。
実はHM邸の竣工写真を見たとき、最初に気になったのが道路側の窓に庇がないことでした。道路側だけでなく、HM邸には庇はどこにもないようです。
HMさんにこれを聞くと
「確かに庇をつけておいてもらえばよかった、と思うところはありますね」とのこと。
 ただし、それは屋上に出る扉。主に物干し場として使用する屋上への出入り口に庇がなく、サンダルなどが濡れてしまう、ということで、私が最初に気にした道路側の窓は「まったく気にならない」ということでした。
おそらくHM邸では、雨の日でもテラスに面した窓が開けられるし、中庭側は囲われているので窓を開けてもそれほど吹き込まないので、特に不便は感じないのでしょう。庇をつけないのであれば、HM邸のテラスのように、別途、雨の日の通風について配慮してほしいものです。
 ちなみに、大系舎では「うちも少しずつ進化していて、今設計している家にはみんな庇が付いてます」(大戸さん)とのことなので、今から設計依頼をされる方はご安心を。

HM-HOUSEの出来上がるプロセスは、
<建築計画網・大系舎 HP> → <オンライン設計室>→<No.12 HMさんの場合>
を参照ください。 |