REPORER 市川 隆 PROFILE
  建築計画網・大系舎 PROFILE
     
   
設計:建築計画網・大系舎 一級建築士事務所
 

3.中庭の大きさ

 HM邸は道路から見て敷地いっぱいに建っています。
  建ぺい率60%ですから、そのまま全部建物ではまずいわけですが、この建ぺい率を確保しているのが道路側のテラス(1階は駐車場)と奥の中庭です。
 テラスと中庭の外部空間を、建物で囲い込んでいるともいえます。

 狭小住宅の中庭の効用は、光庭として北側や下層階に光を届けること、そして「外」を部屋と部屋の間に挟むことで実際以上の距離感を感じさせること、の2点が大きいと思います。
HM邸でも、北側の1階まで明るい日差しが届いていました。

 また、中庭と並んだ位置には、折り返しの階段が置かれています。
 つまり暮らしの場となる各フロアは、通路となる階段と外部である中庭を挟んで向き合っていることになり、しかも向き合う各部屋はスキップで段差を伴うので、指呼の間にありながら、まったく別の場として意識されます。

 中庭の大きさは建ぺい率から決まっているようですが、2.4×2.1mと意外に大きいのも効果を上げているようです。この大きさは意外に重要。というのは、一定の広さがないと圧迫感が激しく、中庭に出たくなくなってしまうからです。
 建築家が設計した家でも、あまりに狭かったりしつらえ方がヘタで、まったく外に出る気がおきない中庭もみかけます。建ぺい率、光を取り入れる、距離感を得る、といった理由で設けられたとしても、やはり貴重な敷地内の空間です。
 ご主人は、中庭よりテラスに気軽に出る、とのお話でしたが、見ると中庭にも鉢植えが出ていました。頻繁に、というわけではなくとも、中庭に出ているのは、一つの場として認識されているということでしょう。
 中庭の存在が、HM邸で大きな位置を占めているのは間違いないようでした。


HM-HOUSEの出来上がるプロセスは、
<建築計画網・大系舎 HP><オンライン設計室><No.12 HMさんの場合>
を参照ください。