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2010年6月21日

3,4階建て住宅の設計術_その4

その4_エレベーターの効能

最近、3,4階建ての住宅では、ホームエレベータを設置するケースが増えています。

ただし、4階建ての場合は、建築基準法による防火区画の関係で、階段やエレベーターと他の部分を防火区画する必要があるので、設置には綿密な計画が必要になります。

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NO.19_SY-HOUSEのホームエレベーター


そのような防火区画の問題をクリアーしたとすると、エレベーターを設置することで、住宅のプランニングは、一気に自由度が増してきます。

一般的に、専用住宅で4階建て以上を必要とする場合は、ほとんどが都心部の周囲が高いビルで囲われおり、その結果LDKなど生活の中心は、陽当たりや風通し、眺望などを考えて最上階に設置するケースが多いはずです。
しかし、4階に生活の中心を置いた場合、日常的な階段の上り下りは、かなり大変なことになります。
とくに4階以上にキッチンがある場合は、買い物からの荷物を運ぶ手間も相当な負担になります。

そういった場合、ホームエレベーターは威力を発揮します。
地上との距離を考えないで、プランを検討することが可能だからです。

図面は、NO.22_SB-HOUSEです。
地上4階建てで、最上階の4階にLDKがある専用住宅です。

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4階のLDK(NO.22_SB-HOUSE)


この住宅のレポートは、『別冊TAIKEISHA・住んでみて』をご参照ください。

また、完成後の姿は、『住宅建築WORKS』をご覧ください。

ただし、ホームエレベーターを設置したからと言って、階段を使わないということではありません。
ちょっと下の階へ移動する程度のことは、ほとんど階段を使うことになります。
イメージ言いますと、1:5くらいで階段を使うことが多いと思います。

ですから、階段の使いやすさは、使いやすい住宅を設計する上での、基本中の基本であることは、肝に銘じる必要があります。


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登りやすい階段が基本(NO.19_SY-HOUSE)


最近のホームエレベーターの費用は、おおよそ普通車1台分程度です。
使用電力代も、月数百円、法的なメインテンスも以前に比べ緩和されています。
また設置面積も、一番小さなタイプで、昇降路が畳1畳分の広さで済みます。


ただし、ホームエレベーターは絶対に設置が必要という訳ではありません。
建て主が希望するかどうか、そして上手くプランに配置できるかどうかなど、前提条件を慎重に検討する必要があります。

投稿者 ooto : 2010年6月21日 10:31