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2006年2月 8日
テラコッタの床
設計中に、テラコッタの床をリビングに使って欲しいと、クライアントからの要望がありました。結論から言うと、テラコッタは採用には至りませんでした。
しかし、今回の要望で普段使い慣れないテラコッタを、納得できる床材に完成させるための試行錯誤したプロセスがありましたので、日記に書き留めることにしました。
テラコッタは、昔の住宅、例えば東孝光氏、林寛治氏などの作品に出てくる仕上げで、もう何十年も前に流行った材料なのでしょう。
本格的なテラコッタの床は、私自身これまで使ったことが無かったので、試行錯誤の連続で、いろいろ大変でした。
はじめは、大手のタイルメーカーや石材店に問い合わせましたが、本来的な意味でのテラコッタは、どこも扱っていませんでした。
ほとんどが、テラコッタまがいのタイルの場合が多いことが分かりました。
ようやく探しあえたのが、昭和インペックスというスペインのテラコッタを扱う会社です。
ここに数度足を運び、テラコッタを扱う上でのノウハウをお聞きしました。
スペインから送られてくるテラコッタは、何の加工もされていない素焼きの状態なので、白っぽく、吸水性があります。
床材として利用するには、色をなじませる必要があり、かつ撥水効果を生み出す必要があります。
一般には、テラコッタ用の直接ワックスを塗るのだそうですが、それでは色に深みがでないので、悩みました。そこで調べていくうちに、亜麻仁油を塗り込むことで、色に飴色の深みがでることが分かりました。これも塗り重ねの回数の違いで、色合いが異なります。
このように、仕上げをスタッフの森川と一緒に試行錯誤を繰り返してみると、テラコッタは、本来的に生ものであることを痛切に感じました。ようやく、私自身納得できるような仕上げが出来ましたが、クライアントのイメージとは異なっているらしく、採用には至りませんでした。
折角完成したテラコッタの仕上げですが残念でした。
そんなわけで、どなたか私たちの設計でテラコッタの床材を使った住宅設計しませんか?(笑)
投稿者 ooto : 2006年2月 8日 18:37 ツイート