その3

[ ON邸設計の記録目次へ]
ONさんへの提案書

[08/]ONさんへの提案書

川崎O邸・基本構想

設計チーム:ダークホーシス

 





@空と大地と住まい

私たちの計画案は、この地域の周辺環境を考えて、出来るだけ高い場所に住むことが、将来的に生活のアメニティーを確保できると考え、4階建ての住宅を構想しました。西側のアパートも、向かいの建物とともに、中高層のマンションなどに建変わる可能性が高いと思われます。ですから、前面道路の斜線制限の範囲内で可能な4階建てを考えました。緩やかな階段による4階建であれば、取りあえずは、エレベータなしの生活が可能な高さであると判断しました。少々大袈裟な考え方ですが、周辺環境を踏まえると、大空に少しでも近い住まい=天空の城ラピュタ、のような住まいをイメージしました。


一方、グランドレベルには、アスファルトの町に緑や土を取り戻すために菜園などを作ることを提案します。屋根の下になりますので、畑に必要な水は、雨水を地下に溜めておき、利用します。また、道路沿いには落葉樹を植えます。地上レベルに土や緑を少しでも増やし、心が和む雰囲気をつくりだします。ただし、この案にご反対の場合は、1階は駐車場にして、菜園を縮小しなどにすることも可能です。自家用車は、立体駐車場にまとめて駐車した方が、通りや建物としても奇麗になると思いますが、いかがお考えでしょうか?

また、建物の中ほどに作られた、中庭状の吹き抜け空間は、風や光の通り道です。

2階のレベルは、一部を内部空間の予備室として、残りは半外部空間のテラスとして利用すること考えています。ここでは多人数の、バーベキューパーティなども可能です。

以上のように、私たちは、空と土と風を、積極的に取り込んだ住宅を、提案します。ちなみにご希望の海のイメージですが、配置図を良く眺めると、魚が跳ねているように見えませんか。奥がしっぽで、道路側が頭です。

()

 

A自然を感じる住宅として

 

○OMソーラーの住宅として


この住宅は、OMソーラーとして計画しています。3階のリビングダイニングは、太陽熱利用の床暖房を設置することを考えています。また4階の、当面の吹き抜けは、OMにとっては有利に働きます。OMのメリットは、冬の床暖房のほかに、夏の強制排気による冷却、太陽熱利用のお湯取り、換気性に優れている、自然を肌で感じるなどをとることなど様々なメリットあります。またOMソーラーを採用した結果、高気密、高断熱の仕様が必要になります。ただし、太陽光利用の発電システムは、まだ高価であるので、予算がオーバーしますので、今回は諦めました。

 

○雨水の利用

この地盤から判断すると、必然的に地下のピット層を持つ基礎形式となります。従ってこのピット層は雨水を貯水するスペースと考えます。この雨水は、家庭菜園や、便所などに利用することを考えています。

 

○菜園、植栽など

周辺環境を考えると、1階のレベルに、四季を感じさせる、菜園や植栽(落葉樹)などがあると、視覚的にもとても気持ちが良いと思います。また、生理的にも土に触れることは、健康に良いと聞いております。

また今回は町に緑を増やす意味で、予備提案として、立体駐車場の全面を、ツタなどで覆うことを提案してみました。道路面に、フレームを建て、これにトレリス等を取り付け、ツタをはわすものです。ただし、工事費は別途予算が必要です。

B建築計画

ファサードデザイン、ゾーニング・プランニングなど

この提案書の模型写真は、構造を表現した模型(フレーム模型)であり、外壁の表現は行っておりません。隣地側の厚い壁は、コンクリートで作り、道路側は、ガラスと、コンクリ−ト、サイディング、木などナチュラルな材料で作る予定です。もちろん、断熱性、防音性に優れたもの使います。

ゾーニングとしては、1階は、菜園または、駐車場と、駐輪・物置などとします。2階は、予備室のほかは、外部テラスを考えおり、菜園に日照を確保するために、一部を吹き抜けにします。3階は、広々としたリビング・ダイニングと水廻りを作ります。一部にベランダを設け、物干しなどに利用可能です。4階は、当面は主寝室とクローゼットのみとし、後は子供の成長に合わせて、部屋を増築していきます。タラップを設置すれば、屋上の一部を利用できます。

また各フロアーを縦に貫く、外部吹き抜けは、風や光の通り道となります。

ちなみに将来的には、裏側にホームエレベータが増築設置可能です。

 

C構造

今回の地盤データーから判断して、2.5m程度下の支持層にべた基礎を設けます。地上との間の空隙は、雨水貯蓄層として利用します。また地上レベルは、厚さ30センチ程度の壁(柱)を、柱に見立てた、鉄筋コンクリート・薄肉ラーメン構造という形式を採用する予定です。30センチの厚さの壁は、防音や防火性能に大変優れています。余談ですが、今回構造設計のアドバイスを受けています構造デザインの藤川さんは、以前に宮脇壇さんの住宅の構造設計をご担当なさっていらっしゃったそうです。



配置図・1階平面図・模型写真


2階・3階平面図・模型写真


4階平面図・将来変化・模型写真
その3おわり
[ ON邸設計の記録目次へ ]


ooto@taikeisha.net