大系舎」設計の住宅に住んでから少し時間が
経過した住宅の様子を、レポーターの市川さんに
取材をお願いしてまとめています
   
レポーター:市川隆 (プロフィール)
撮影:飯村昭彦
     
 
  大系舎TOP住んでみて・別冊TAIKEISHA > KT-house
4.ピアノ室のつくりかた

地下室は寒くない、ということはわかりましたが、KT邸の地下室にはもう一つ課題が。それはプロのミュージシャンであるKTさんが演奏するピアノ室であるため、音響に対する配慮が求められたことです。



再びで恐縮ですが、私の実家の、冬超寒い半地下もピアノ室。設計段階では、設計者とともにヤマハの防音関連のショールームみたいなところに行ったりして、一応研究はしました。が、結局、満足のいく音環境にはなっていません。果たしてKT邸は……。
これも結論から言うと、とってもいいのだそうです。プライベートのコンサートを開くと、「特別な音響設計をされたんですね」と感心して帰る人もいるとか。
大戸さんに聞いたところ、音響設計に詳しい知人に相談して遮音、吸音などについてアドバイスを受けたそうです。壁は上階と同じOSB仕上げ、一部コンクリート打ち放しですが、天井には一般の住宅では見られない吸音材が張られています。天井で吸音し、ボードが適度に反射と吸音、コンクリートが反射、といった感じでしょうか。ただし、「それほど本格的に音響設計をしたわけではないので、音がいいとしたらマグレかな」(大戸さん)とも。
マグレかどうかはともかく、個人的にはKT邸地下室の成功は3m近い天井高にあると思います。面積としてはわずかでも、高い天井によって、音を心地よく響かせるのに必要な空間ボリュームが確保されたのではないでしょうか。

これには、階段室と地下室を区切らず、階段を地下室に一体的に取り込んで、1階で仕切るというプラン的な工夫も効いているようです。音は、地下だけでなく、階段上の吹抜けまで回ることが、反響面でよい結果に結びついていると思います。
なにはともあれ、プロのミュージシャンに認められた音環境をつくりだしたのは、すごいことです。拍手!

(PREV)←  →(NEXT)

  大系舎TOP住んでみて・別冊TAIKEISHA > KT-house