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2015年9月 8日
お勧め本
友人の建築家である佐々木善樹氏が書かれた本を推薦します
書籍のタイトルは、「家は買うものでなく、つくるものでもなく、育てるもの」(エクスナレッジ)です。
題名は、住宅の本質を端的に語っているものです。
世の中ではハウスメーカーの家づくりがもてはやされていますが、実はこういった家づくりの方法の歴史は浅く、高度成長期に出来たものであり、本来的な家づくりから見ると特殊なことであることを、本の中では易しい言葉で述べられています。
また建築家による作品至上主義なども、この本の批判の対象となっています。
これらの家づくりの方法に欠けていることは、長期にわたる住宅が生きるという時間の概念であり、家は住み手が常に係わりながら、育てていくものだという、古来からの本質的な考え方を、現代的な住宅のテーマに戻して述べています。
住宅の一生は、人間の一生よりずっと長いと本の中で述べられていますが、その通りであり、人間の成長と寄り添って成長していく住宅像があり、それを住まい手が主体となり、建築家がデザインと技術のサポートをしていくという構図です。
本の中では抽象論で終わらせるのではなく、具体的な住宅ローンの話、建築の仕上げ、躯体の区別、玄関やキッチンなどの話に及びます。
この本は一般の方だけでなく、設計者や若い学生、また家づくりに係わる専門家など、全ての人に読んでもらいたい間口が広い住宅論です。
投稿者 ooto : 2015年9月 8日 11:04 ツイート