飯村昭彦写真館
写真家の飯村昭彦さんのご厚意で、写真館をオープンします。建築計画網・大系舎では、ここ数年、多くの完成した住宅を飯村さんに撮影していただいています。このSITEに掲載した完成した住宅の多くは、彼の撮影にお願いしたものです。

普段、彼の撮影する対象は、"生きた人間"や"時間の経過したものたち"、"置き去りにされたものたち"などが特徴的だと思います。彼のファインダーに拾われたものたちは、もう一度生き生きした姿を現します。 彼は、建築写真が専門という訳ではありません。彼曰く、新築の建物ほど撮影しづらいものは無いとのこと。それでも無理を言って、撮影をお願いしている理由は、住宅を作品性という切り口だけでなく、出来事とか、人間との関わりとか、生きられた時間軸の切り口から撮影していただきたいと思っているからです。
ここに飯村氏の写真を徐々に掲載させていただき、私たちの住宅設計に対するご理解の一助としたいただけると幸いです。(大戸)
飯村氏のメッセージ
新築の建築の写真が専門ではないというより 自分の撮る建築写真は自分の作品ではなくて建築家の作品の記録、建築物の記録という意識で撮っているつもりです。また、設計者が意図した見え方とモノとしての意外な見え方の発見という両面に着目して撮っていきたいと思います。 新築の写真が「自分の」作品として撮りにくい理由は、意図せざる意外な見え方や自然的な外力による加工が未だ発現していないからです。 また竣工時点ではデフォルトの状態の記録をしっかりしておく必要があると考えています。建築写真も今後(自分流に)専門化していきたいと存じておりますのでよろしくお願いいたします。
(写真をクリック)
コメントは飯村氏
『谷町の煙突 1983年撮影

麻布谷町に取り残された煙突の上でのセルフポートレート。
私の出世作です。(「超芸術トマソン」所載)
 ひた寄せる地上げの前に煙突だけになって残っていたお風呂やさんの煙突です。
現在アークヒルズとなった所ですが驚いたことに全く同じ場所にサントリーホー
ルの煙突ができています。

「鈑金塗装」  : 環状7号線 杉並堀ノ内

 
塗装屋さんの看板もいつでも自分で直せると思うせいか芸術類似物質化している例が多く見られます。 マスキングの切り抜きと思われる書体もおもしろい。
「イスラミック接着剤」  :名古屋駅前

 おそらくイラン人の出稼ぎの人が無意識のうちに仕上げたカリグラフィーです。
 左の看板は元のコカコーラの独特のラインが顔を出しています。
 「井荻駅の梱包芸術」  :西武新宿線井荻駅

 朝しかやっていない新聞スタンドです。こういうものと出会うと「ああ、お前はこうして
 俺と出会うために待っていてくれたのか」と、いとしい思いに包まれます。
緊縛されたコーン :2001年12月撮影

新宿歌舞伎町にありました。


「?」: 2002年6月 墨田区
 
壁を塗り替える途中で「芸術心」が生まれてしまったのでしょうか?
塗り残した文字にわざわざ赤いペンキでつぎ足したものと思われます。
この物件については全く成因の見当がつきません。
百人町住宅の給水塔: 2000年8月撮影

 新宿百人町の都営住宅は 棟と棟の間に木が生い茂って
境目のはっきりしない、いいかげんな感じがとても好ましい
所でしたが、そのような状態は行政にとっては到底がまん
のできないところでしょう。
 この給水塔の周りは既にリニューアルされてしまった地域ですが
不思議にこの給水塔だけが取り残されているのです。
 どうも何かの機能を有しているようですが無くなってしまった旧
アパート群のモニュメントの様な感じもします。
 屋上に火の見のようなものが付随しています。


伊皿子坂の原爆タイプトマソン:2002年8月撮影
 
ビルに沈んでいく東京の町並が影のように焼き付けられて残されています。
 お店はやっていないようですが、家からおばさんが出ていらっしゃるところ
を確認しました。

食い込んだ屋根

手前に伸びた棟が壊され、むこうの家の屋根に屋根が食い込んでいた跡が保存されています。1〜2mほどの巾で残った家の中に何があるのかは謎のままナマコトタンは給水塔の影を映し出しています。
 あるいは遺産相続で「オレの相続分は壊さないからな」と揉めているのか?等と妄想は深まるばかりです。 今年の台風の後手前の棟はさらに高さが半分に改造されました。
豊玉住宅の壁: 2001年7月撮影

 
住民が自分でヒビを補修し色を「合わせ」無作為にハケを走らせた
行為が美しいマチエールとなって自生した草花を街角に展示しています。
 このように美しくなったころあいの壁が落書き小僧に狙われてしまう
のが近ごろの嘆かわしい風潮です。
 何故発見したものを観賞して楽しむことができないのであろうか。
マチエールを自前で作る労を惜しむのか。
 全く効率主義で困りますね彼らは。   
待機する箱:2002年9月撮影

中杉通り 阿佐谷北 で現在使用中の押しボタン式信号機のスイッチ。

「猫とかかと」近所のアパートの塀についている戸当たりをある日近くで見て見たらゴムのかかとを釘で打ち付けたものだった。(下に続く)


その瞬間頭の中で地面が壁に転換した。(横に並べて交差方または平行方で見ると立体視ができます)

2005/05追加
「新宿さくらやの前の切り株」さくらやのコーポレートカラーのテープが巻いてある。

2005/05追加

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