その3
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案の決定まで。
設計事務所を決めるまで。






クライアントが、設計事務所を決める要因は数多くあると思います。
以下に、主なものをあげてみます。

1)建築家のデザインが気に入ったから
2)施主の要望を、きちんと聞いてもらえそうだから
3)建築家の、家作りに対する考え方、取り組み方に共鳴したから
4)建設業者に対して、工事をきちんと監督してもらえるから
5)相性が良さそうだから
 
普通は、1)が多いようですが、2)から5)までも決定要因となります。

今まで、建築家を選ぶには、住宅雑誌が主体でしたが、インターネットを利用した建築家
の出会いは、もう少し多元的な決定要因を期待できると思います。つまり、雑誌では、1
)の要因を通してか出会えなかったのですが、もう少し、気楽に声を掛けることが出来る
ようになったと言うことです。
でも、雑誌を見て、設計事務所に電話をするのは多分、大変な勇気が必要でしょうね。(笑)


つまり、設計事務所はデザインだけでなく、建築に対する様々な専門知識を提供するのが
仕事です。建築家に頼めば、何をしてもらえるかをしっかりと、把握することが、賢い家
作りのコツだと思ういます。

建築家は、一見強い個性を持っている人が多い様に見えますが、大抵の人は、家作りに対
して真摯な態度で望んでいます。きちんと話を聞いてくれる人も多いはずです。

私たち建築家から見れば、直接クライアントから依頼されることが望ましいと思っていま
す。それには、こちらもしっかりとした、作品、考え方、実績を持たなければなりません
ので、日々の研鑚が欠かせません。






設計者から(97/12/18)


12月のはじめにクライアントから正式な設計依頼を受けました。そして12月7日に設 計監理契約を結び、正式に業務のスタートとなりました。今後クライアントと、もう少し 案を練り直しながら、来年の1月に基本設計を固めて、2、3月で実施設計を完了させ、 4月には着工する予定です。来年の秋頃完成予定です。 今回の保谷の計画に対して心がけたことは、以下の点です。 1.あまり広くない敷地ですので、単純明快な構成を考えました。具体的には、中庭型 の3層構成の都市型住宅としました。単純な箱ですので、将来に渡りフレキシ ブル に住むことが可能なはずです。細かな点は、徐々に詰めていくつもりです。 2.コスト意識を重視しました。今回は、鉄筋コンクリート構造でつくります。提案時 に、構造家のアドバイスを受けた結果、薄肉ラーメン構造で考えております。また 、提案前に、私の信頼のおける建設会社に、概算見積りを取った結果、余裕はあり ませんが、努力すれば十分可能なコストであることを確認しています。最近のクラ イアントは、私たち建築家に相談する前に、住宅メーカーに相談しているケースが 多いと感じております。今回も、前もって住宅メーカーから、見積りを取ってい たとのこと。私たち建築家は、コスト面においても住宅メーカーと同じ土俵に立た なくてはいけない時代になってきたと思っています。 3.クライアントとの共同作業を意識する。今回は、厳しい条件の中で、良い建築をつ くっていくには、色々な点で、クライアントの協力が無いと成立しません。例えば 、仕上げに関しても、全てを初めから完成させるのではなく、住める最低限に押さ えれば、コストは下げられますよね。でも、これを理解していただくクライアント は、徐々に増えてきたと思います。今回もこの点を理解して頂いております。 また、建築家は、ある意味で翻訳家であると考えています。クライアントの話を聞 きながら、建築用語で翻訳することですね。ですから、クライアントの意見を素直 に翻訳したつもりです。 お正月に、じっくりと案を煮詰めて考えるつもりです。また、来年になりましたら、 設計中のプロセスを報告いたします。





その3おわり
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