その2
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企画書から。
[09/24]大系舎が作成した、企画書(応募案)です。





kさんの要望事項を受けて作成した、大系舎の企画書です。
あまり過剰な表現は避けて、簡潔で、分かりやすい表現をこころがけました。
今回は、コストがシビアであったので、ゼネコンから概算見積書を取り、添付しました。(大戸)





     K邸基本構想、6つの提案
     1級建築士事務所 建築計画網・大系舎  所長  大戸 浩

                          



@鉄筋コンクリート構造でつくる。 敷地は都市部の高密度の住宅地に位置するので、この住宅は地震、火災、騒音などに強い 堅固な鉄筋コンクリート構造を提案します。 昨今の建設業者の様子をみると、工事単価がとても下がっております。今回の計画は、予 算的に余裕ではありませんが、工夫をすれば、鉄筋コンクリート構造で計画することは、 経験的に充分可能であると判断しました。 現状の予算内の中で、鉄筋コンクリート構造で造るためには、 a)合理的な設計、ローコスト設計、積算技術、業者選定技術、施工監理技術 b)合理的な住まい方の考え方 が必要です。 a)については、建築家の総合的な設計技術であり、当事務所では豊富な経験と実績を持 っていると自負しております。 b)については、施主(Kさん)の同意が必要です。 大きなポイントは、 ・ 初めから全て完成させる考え方ではなく、徐々に10年程度かけてつくって いくという考え方。(つまり過剰設備をしないこと) ・ 内外装も、シンプルなコンクリート打ち放しで考える。もし、気に入らなけ れば、後で徐々に仕上げるなど。(徐々に家を育てるという考え方) ・ コストに跳ね返るような、こだわりを持たない。 (石貼り、高級建具などは使わない。シンプルで安くて良いものを上手に使う) といったことです。 Kさんのお考え、御要望から判断しても、決して難しいことではないと思います。 A建設コストを確定させるため、前もって工事概算見積りをとる。 今回は、前もって概算見積りを、施工実績がある、私の信頼する施工業者から取り、計画 案と共に参考資料として、提出いたします。 当事務所では、予算がシビアな時は、このような方法をとることで、大きな予算超過が起 こらないように、気を付けております。 なお、別途推薦される業者があれば、比較のため参考見積りを取ると良いと思います。 B家族の発展過程を受け入れる、柔軟なプラン。 ・ 外壁で、なるべく大きな面積を合法的に囲い込み、後に増築を容易にする。 ・生活の発展過程に合わせた、増改築が容易な計画。 C自然の光や風などを最大限活かした中庭があるヨーロッパ型の住まい。 ・ヨーロッパ的な中庭型の住宅。 ・都市の中で、自然の風や光を感じることができる家。 ・必然的に、シンプルで、シックデザインに。 D設計から工事監理、アフターケアーまで、こまめに対応します。 ・清瀬に分室(自宅)があります。 ・計画から、工事監理、アフターに至るまでこまめに対応致します。 E家相について この計画案は、狭い敷地の中、厳しい条件の中で、最大限生活を満喫できる事を念頭にと もかく合理的に作ったものです。 従って、風水に当てはめた時に、少し不都合が生じていることも、承知しております。た だ、私は風水の専門家ではありませんので、どのように修正すれば良いのか、完全に理解 しておりません。 そこで、私の提案としては、もしこの案が採用されたなら、風水の専門家のアドヴァイス を受け、この案を修正していくことが、一番現実的であると考えております。基本だけは 守り、建て主の気持ちにわだかまりを残さないことが必要なのではと思います。 工事予算書 1、 建築工事 *,***円 (工事見積書) 2、 解体工事費 **円(工事見積書) 3、 設計監理料 ***万円(大系舎料率表より) 4、 空調、家具、カーテンなど ***万円(別途工事、ご自分でそろえる。) 合計 *,***万円(税抜き) *,***万円(消費税込み) K邸基本構想・計画の詳細説明 @構造計画 ・まず、基本構造として、鉄筋コンクリート造(壁式構造)を採用する。 ・ 鉄筋コンクリートの骨組(スケルトン)を基本として、将来的な増改築を行う。 A平面、立断面計画 ・ 道路斜線をクリアーするようにセットバックさせ、道路側に3階建てが可能とする。 ・ 中庭を中心にすることで、各部屋の採光、通風を確保。(外壁があるので、家相の「欠 け」ではありません) ・ 1階は、駐車場、水廻りを配置する。ただ、中庭の吹き抜けを通し 、自然光は落ちて くるようになっている。なお、浴室はユニットバスではなく、自由設計を想定。 ・ 2、3階に主要な部屋を配している。(部屋の割り振りは自由です) ・ 初期は、家族が少ないので、ゆったりと余裕を持って暮らせるようになっている。 ・ また、3階の屋根は木造とすることで、将来小屋裏部屋を容易に可能としている。 ・ 3階の屋上は、計画によっては利用可能です ・ 初期、5年後、10年後を想定して増改築のプランの可能性を提案している。 ・ 5年後は、3人家族を想定。 ・ 10年後は、5人家族を想定。 ・ 総合的なフレキシビリティーと、ヴァリエーションが充分持てるように配慮した。 B意匠デザイン計画 ・ 建物の大きさ、コスト等を総合的に考えて、シンプルな打ち放しの外観をベースに、 木製の窓、又はパネルをポイントに配したものを考えている。 ・中庭の外壁面は、明るい色彩が良いと考えている。 ・ 内部は、打ち放しコンクリートにフローリングを基本とし、必要があればPBなどの 仕上げを配するものとする。 C環境設備計画 ・なるべく、自然光、自然風が有効になるように配慮。 ・空調機は、家電店で購入する方が安いので、別途工事とする。 ・健康を害するような、材料はなるべく使わない。 *最後に、お願い。この案の著作権は当事務所にありますので、無断の利用、転用等は、 お控え下さい。


平面図

立断面図

模型写真1

模型写真2




その1おわり
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