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3,4,5階建て したまちの家

外部環境とのつきあい方

“3,4,5階建て・したまちの家”(以下、したまちの家)は、一般的に周囲をビルに囲まれています。
環境条件の悪い密集地の中に建っている”下町ノッポ住宅”にとって、外部環境とのつきあい方は、快適なすまいの質を決める上で、とても大切なことです。

外部環境と付き合うとは、自然の光や、風との関係だけでなく、窓から見える景色をどのように住宅に活かすかなど、きめ細かい配慮が必要になります。

KT-HOUSE(新宿区)敷地を見上げる

ほとんどの”したまちの家”には、地上の庭は確保できません。

その場合、屋上やベランダを設けることで、庭にかわるスペースを確保することになります。
屋上が確保できれば、ガーデニングや物干しに利用でき、心地よい屋上庭園が可能になります。
ただし、屋上をつくるには、その床面を構造的に強くつくる必要があるので、屋根にする場合に比べて、若干費用が掛かります。

また、普通の家に比べると、自然光や風通しなどの自然環境条件は悪いので、トップライトやハイサイドライトなどの工夫を通して、出来るだけ自然を感じるすまいを目指しています。 (KT-HOUSE)

KT-HOUSE(新宿区)

KT-HOUSE(新宿区)

庇を設ければ、夏の日差しはカットされ、冬の日差しは、は室内の置くまで届くので、快適な室内環境をつくります。

つぎの事例は、中庭を介して、光と風などの自然環境を室内に取り入れたものです。(HM-HOUSE)
中庭をつくるには敷地に多少ゆとりが必要ですが、その効果は想像以上のものがあります。

ここでは四季を通して、光や風や緑の自然環境を楽しむことが出来ます。

HM-HOUSE(目黒区)

HM-HOUSE PLAN

“したまちの家”から見える、外部環境を大切にしたいものです。
郊外の普通の家のように、庭がないので、窓の外への視線は庭の緑ではなく、まちなかの何らかの要素になるでしょう。

下町には、まちの財産ともいえる、河川、公園、道などの景観や、スカイツリーなどの見て楽しいランドマークあります。

AB-HOUSE PLAN

TG-HOUSE(台東区)

例えば、窓や屋上から見えるまちの交差点や、裏道なども視覚的なゆとりとして大切な要素です。 これらの要素は、”したまちの家”にとって大切な要素にであり、プラスαのゆとりが生まれます。(TG-HOUSE)

NA-HOUSE(杉並区)

この事例は、1階の広間を、河川に向かって大きな窓とテラスをつくった住宅です。 (KI-HOUSE)

建て替え前、住宅は河川を背面を流れる排水路程度にしか捉えていなかったのですが、新築後は1階の広間を河川に向かって大きく開きました。
実はこの河川の上部には、高速道路が通っています。

しかし河川は南側なので、日中は河川の水面に太陽光が当たります。その結果、ここから見える風景は、とても明るく、開放的なものになりました。

KI-HOUSE(墨田区)

YA-HOUSE

この事例は、墨田区の都市公園に接して建てられた住宅です。(YA-HOUSE)

公園の中にある大きなクスノキが、窓を通してこの住宅の視線の中心になっています。

下町の外部環境として、かなり恵まれているのですが、このように階段室の窓先に元気な樹木があれば、居住者の視線を四季を通して、十分楽しませてくれます。

この写真の事例は、隣接する鉄道と立体駐車場からの騒音を、和らげるためにRCの袖壁を取り付けた住宅です。 (ON-HOUSE)

工業地帯に近い場所なので、貨物列車の本数が多く、列車が通過する時には、かなりの騒音が出るので、その対策を兼ねたデザインです。

ON-HOUSE(川崎区)

サンルーム(室内物干し場)

“したまちの家”において、いつも悩むのが、洗濯物をどこでどうやって干すかということであり、 屋上を物干し場にする場合は、かなり重労働で大変です。

そこでよく使うのが、室内にサンルームを設け、そこを物干しにするという方法です。 工場地帯や車の通行量が多い場所では煤煙が多いので、サンルームは半外部空間として有効な方法です。(SB-HOUSE)

設備置き場をどうするか

“したまちの家”は、敷地一杯に建築される場合が多いので、エアコンの室外機置き場や、給湯器などの設備類の置き場に困ります。

この場合、おすすめなのが、設備置き場専用スペースを、建築に設けることです。

この事例で、設備置き場は、木製縦スリットで、エアコンの室外機やゴミ箱が、道路から見えないように工夫しています。(TG-HOUSE)