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2018年4月26日

建設費の高騰

近年の傾向なのですが、建設費の高騰が止まりません。

なぜそのような傾向なのかをまとめてみます。

特にここ一年の鉄骨材の高騰が顕著です。
鉄材は、東京オリンピックを前にして鉄骨造のビルやホテルなどに加え、流通革命による倉庫などの需要が急激に増えていて、鉄材が高騰しています。
また鉄鋼石など輸入原材料も値上がりしています。
その他ビル用の建材は、需要増加で全体的に値上がり基調です。

ただ木材は、鉄骨材ほど建設需要の範囲が広くないのと、国産材もあるので多少の値上がりで済んでいるような気がします。
そのため、木造住宅では、工事費の値上がり幅は許容範囲であると感じていますが、鉄骨構造やRC構造の住宅では、トータルとしての値上がり幅が大きいと感じています。


また工事費の高騰の原因は材料費だけではありません。
建設費の半分近くは人件費で構成されています。

最近の建設現場では、全体的に各種の職人が不足しています。
そのため、人の取り合いで人件費が上がっていると言われています。

大手建設会社は、人手に変わる手段としてロボット化、プレファブ化などを模索しているようですが、一般的な住宅にはまだまだ導入は難しいと思われます。

建設現場は3K(危険、キツイ、汚い)と呼ばれる状態を改善しないと、なかなか職人の成り手がいないのが今の日本の現状です。
また社会的な見地からは、建設現場の労働賃金、社会保険等の労働条件は、決して良いとは言えないので、これも改善する必要があると思います。

高度成長期を経てこれまでの建設工事は、こういった決して良くない労働条件に支えられて成立していましたが、今後はこれ改善しない限り、良好な建設現場は成立しないと感じています。

そのため、ある意味では多少の工事費の値上がりは致し方ない側面があると思います。


結局お金を出す施主とともに、現場で作る人の両者が幸せになるような時代が求められている時代だと感じています。

私達設計者も設計は出来るが、それをその通り作ってもらえない時代がすぐそこに来ているような危機感を感じています。


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投稿者 ooto : 2018年4月26日 11:22