住んでから少し時間が経過した住宅の様子を
レポーターの市川さんを通して表現しています

大田区の下町地区に建つ、2世帯住宅です。耐火性の高いRC構造3階建てです。
-Vol.8-
2世帯・RC構造の家
- TD-house -
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04.暑さ寒さの難しさ
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今回は、暑さ寒さの話です。

TD邸では当初3階が「夏に暑く、冬に寒い」状況で、窓枠には結露も発生していたというのです。

27td_0401.jpg

TD邸は、RC造の外断熱仕様、窓には複層ガラスが入っています。

断熱仕様や工法が百花繚乱の木造と違って、RC造の断熱仕様にはそれほど選択肢はありません。
ざっくり言うと、断熱材を「外」に置くか「内」に貼るか、はたまた断熱材ナシの打ち放しか。

ただし、マンションなどに見るように従来は内断熱が主流で、外断熱工法はまだまだ新しい仕様といえます。



理屈で考えれば、断熱材で建物をすっぽりと覆ってしまう外断熱の考えは理想のように思えますが、建物には開口部がたくさんあって「すっぽり覆う」ことはできません。

考え方としては理想ではあっても、作り方から使い方まで難しい点が多く残っているのが現状でしょう。

T27td_0402.jpgD邸の場合、原因は複数考えられますし、また複合的なものとも考えられます。

実際、1階では工事の最終段階で珪藻土塗りに変更(これは若夫婦からご両親へのプレゼントだったそうです)したためか、3階のような状況にはなっていないし、大戸さんの「今まで外断熱仕様で、問題になったことはなかった」という経験則からいっても、打ち放しほかいくつかのイレギュラーが重なって、暑い、寒い、結露という問題に発展してしまったようです。


この話で驚いた点は二つあります。
一つは、TDさんが淡々と自分たちで二重窓にするなどの改良を加えていたこと(これについては後述)。

そして二つ目は、断熱・気密についての議論がこんなに活発になされていても、まだまだ設計者も予期しない事態が起きる、ということです。



最近のエコブームも手伝って、断熱気密に関する意見や議論はますます盛んですが、理屈は所詮理屈。現場では想定外の状況が生まれることもあるのです。

ヒステリックにならず、実際の状況に対応していく気持ちの余裕が大切ということでしょう。?


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