住んでから少し時間が経過した住宅の様子を
レポーターの市川さんを通して表現しています

新宿区に建築された、地下室付RC構造の住宅です。 施主がピアニストであり、多くの人が集まります。 16坪の狭小地でも快適に過ごせます。
<Vol.7>
地下音楽室付/狭小RC住宅
- KT-house -
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6.建築家との家づくり

 

今回、KTさんのお話を聞いていて一番おもしろかったのは、大戸さんの存在についてでした。

オンライン設計室を最初から見直してみると、当初、鉄骨造の4階建て、地下をピアノ室に、駐車スペースは2台分を確保、というご希望で、設計もこの条件を満たすように進んでいたことがわかります。

ところが着工を前にして、鉄骨などの建築資材が高騰。計画の中断を余儀なくされました。この中断が、KT邸を大きく変えることになりました。

「それまでは、KTさんご夫妻がかなり綿密に調べた上で希望を述べてらしたので、その希望をトレースするように設計をしていたんですが、中断しているときにいろいろ考えて、階数を減らしたり、RC造や駐車スペース1台などの提案をした」と大戸さん。


これはKTさんたちに、まったく違う視点を提供したということです。

KTさんは当時を振り返って「言われてみれば、鉄骨が高くてRC造と変わらない値段なら鉄骨造にこだわる必要はないし、月に1度程度の来客のために駐車スペースを用意するなら、そのときだけ近くの駐車場に停めたほうが安い。

大戸さんの提案のプランでもなにも問題がないなあと気付いたんです」と語ってくれました。







計画の根幹に関わるような「大切な」基本条件でさえ、視点を変えれば、それほど「大切」ではない、ということ。

それに気付かせてくれる客観的な提案。

こうした、第三者的な立場から、当人たちが気づかないことまでアドバイスしてもらえるのは、建築家との家づくりの最大のメリットだと思います。



私は、家づくりはすべからく建築家と行うべきだとは思っていません。
ハウスメーカーにも工務店にも、いいところはあるし、そういうところで建てたほうが幸せな人たちもたくさんいます。

でも、こういう話を聞くと、建築家との家づくりの魅力を再認識します。

もちろん、人の話に「聞く耳をもっている」という建て主側の資質が大前提なのですが。

 

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