住んでから少し時間が経過した住宅の様子を
レポーターの市川さんを通して表現しています

テナントビルを住宅にコンバートしたプロジェクト。住まい手が育てる家を目指し、住まい手によるDIYを積極的に取り入れました。
Vol.10
テナントビルの住宅コンバージョン
- BT-HOUSE -
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3,メンテナンスを意識せよ!
 

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どんな住宅でもメンテナンスは欠かせない、と理屈で分かってはいても、つい日々の生活に追われて目が行き届かない、それが現実だろうと思います。さらにやっかいなことは、家の構造に影響するような重大な傷みは、よほど注意して見ていないと気づかないということ。
なぜならほとんどの家では、構造体が隠れているからです。

森川ハウスでは、床・天井はそのまま見えています。その思わぬメリットとして森川さんが教えてくれた「事件」も、メンテナンス絡みのことでした。
森川ハウスは鉄骨造。少し先に幹線道路が走っているため、大型車両が通過した際などには多少揺れるということです。耐震性に問題がなければ、建物が揺れること自体は事件ではありません。問題は構造体にくっついていても、一緒に揺れることができないところ。特に困るのが外壁です。

46bt_0301.jpg森川ハウスでは、その外壁にクラック(ひび)が入って、水漏れの原因になったのだそうです。ところが、室内に入ってきた水がたどり着いたのはむき出しの床。すぐに発見して補修が可能になりました。もし、普通の家のように床を張っていれば、水は床下を流れていたでしょうから気づくのは遅れ、床下に水が溜まったままになれば、構造の鉄骨にも影響が出たかもしれません。

とはいえ、床のコンクリートがむき出しの家がそれほど一般的とも思えないので、これは特殊事例。
大切なのが、家に対する目配り、心配りなのは言うまでもありません。普段から、傷んでいるところはないか、どれくらい劣化が進んでいるか、などを意識することができれば、驚くこともないしお金の準備(に対する心の準備)もできるでしょう。その「意識する」きっかけは、森川ハウスのように見える梁や床でなくても、きっとどこでもいいのだと思います。床下でも屋根裏でもバルコニーの足元でも。

「普段の生活のなかでは見ないけど、ときどき見る」、そんな場所を一つか二つ、つくってみてはいかがでしょう。
それだけで、家のメンテナンスに対する気持ちが、大きく変わるような気がします。(文 / 市川隆)

 

 


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