9,遠隔地の設計監理

インターネットを使ったコミュニケーションの大きな特徴の一つは、距離と時間にあまり束縛されないでコミュニケーション出来ることです。

この特徴を有効に活用すれば、遠隔地つまり設計者の所在地と、建設場所が離れていても建築家の日常的な活動の延長線として、設計活動が可能になると考えています。私の事務所のプロジェクトでも、実際に遠隔地の設計監理のプロジェクトが、少しずつ増えています。

これまで多くの建築家が、遠隔地の設計をしていますが、遠距離の設計監理は大変な作業です。特に住宅の打ち合わせは、細かなコミュニケーションが必要なので、苦労も多かったと思います。しかし、電子メールが日常的に使われはじめた現在では、遠隔地でも、きめ細かなコミュニケーションが可能になってきました。電子メールでは、文字情報に加えて画像を織り交ぜることが出来るので、かなりの情報を瞬時に送ることが可能になってきました。

ただし、家づくりのおいては、情報交換についてはいろいろと注意しなければなりません。クライアントと建築家だけのコミュニケーションは、設計段階だけであり、工事段階に入ると、建築家、工務店及び施主の3者を繋ぐコミュニケーションが必要となります。


ここで注意しなければいけないことは、この3者は同等の関係ではないことです。建築家は施主の代理者の立場で、工務店に対してチェック機構として働かなければならないからです。ですから、工事段階に入ったら、建築家は情報のナビゲーターとしての役目を果たす必要が出てきます。


現場を混乱させないためには、家づくりのプロセスの中で、必要な情報を絞り込むことが必要です。特に通常遠隔地の設計監理の場合は、クライアントと工務店の距離が近いので、直接クライアントが工務店に指示したりすると、現場は混乱してくる傾向にあります。

家づくりのプロセスの中で、必要な時期に、必要な情報交換を見極めること、必要な時期に,、必要な情報交換のルールを確立する事が、これからの建築家には、必要な技術だと思われます。そのためには、建築家も情報交換技術を十分に身につける必要があると思います。

ただし、施工者については遠隔地ではなく、地元に近い場所の施工者を選ぶべきだと思っています。施工者は、人や”もの”の移動が必要ですし、完成後のメンテナンスのことも重要です。設計者の勝手な言い分のように聞こえるかもしれませんが、工事に関して言えば、私は地元主義です。

インターネットは新しいコミュニケーションツールであり、可能性と注意点を見極めて行けば、自然に遠隔地の設計が、日常的に可能となると思います。現在は、過渡期であり、まだまだ試行錯誤が必要です。しかしこれまでの経験を通して、遠隔地の設計監理の可能性は非常にあると感じています。 (00/08/28)

(注)遠隔地の実験的プロジェクト(NS-HOUSEKD-HOUSE)を、参照して下さい。

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