19,メーリングリストの功罪


電子メールの利用方法の一つに、メーリングリストがある。特定のメンバーに、電子メールを一斉に送信することが出来き、情報の共有化が可能であるという仕組みである。

実際のある住宅プロジェクトで、設計段階から、工事段階まで、メーリングリストを利用して、メンバーとコミュニケーションを行い、情報の共有化を図ってみた。結論としては、メーリングリストは、設計段階には向くが、工事段階では、多少混乱が起きることが分かった。

設計段階のメンバーは、私、共同設計者(大阪在住)、構造設計者、施主(ご主人)、奥さんなど、生活時間帯、居住地域が異なる多様な人々という特殊条件であった。設計段階での情報交換の内容は、設計仕様を決めることなど比較的正確さが必要な情報交換が多い。この場合は、情報の共有化や記録性ということからもメーリングリストが、有効に機能したと思う。

一方、現場段階では、工務店がメンバーに加わった。当初私自身は、現場段階では、主に現場の進行など報告性のものが多いものと想定していた。しかし、工事が実際に始まってみると情報交換が簡単に出来るので、施主が、工事の内容についての様々な質問に使うようになってから少し様子が変わってきた。徐々に施主の管理意識が強く働くようになってきたからである。その時から、メーリングリストが、設計者、工務店にとって非常に息苦しい、常に管理されていると感じられる空間に変貌してしまった。もちろん、設計者は監理内容を施主に報告する義務はあるが、毎日のように工事関連項目だけでなく、様々な質問に答えるのは、通常の監理業務の枠を大きく越えてくる。

情報の共有化とは、どこまで行えば良いかという点に関しては、情報のナビゲーターとしての設計者の考え方があると思うが、メンバー間の距離が近づけば近づくほど、コミュニケーションに必要なエネルギーは、増大してくることも事実である。それが家づくりにとって、必ずしも良い結果をもたらすとは限らないこともあるので注意が必要であると感じている。

建築知識01/09号より(01/09/11)

BACK
LIST
NEXT