18,CADデーターと著作権

施主から、設計中のCADデーターを送って欲しいと言われた事がある。CADデーターを使って、自分でコンセントや、照明の配置のスケッチをつくるのだとのこと。施主は、パワーユーザーであり、大抵のソフトは苦もなく扱うことが出来るので、起こった問題でもある。
この時私は、CADデーターを渡すべきか、迷いが生じた。施主からは、設計料をもらっているのだから、渡すべきなのか、それともいくらコピーが出来るとはいえCADデーターはいわば原図なので、施主と言えども渡すことが出来ないものなのか。つまり、紙に焼くか、画像にして送るような方法をとるか迷った。

一般にソフト業界では、こういった事態を踏まえてどこまでクライアントが開発中のソフトやデーターを利用できるかは、契約書の中で取り決められるそうである。

製図の舞台が、手書きのトレペから、CAD上に移ったことで、設計データーのコピーが容易に作成出来るようになったことから起きる問題なのだと思う。結局このケースでは、CADデーターは渡したが、施主が加工したCADデターは受け取らず、画像ファイルにしていただいて受け取ることにした。幸いにも施主は、パワーユーザーゆえに、その辺りの事情にも理解していただいた。

一般に、設計者はオリジナルな作品をつくっているという意識が強いと思う。その反面、建築は一品生産の世界なので、設計図に対する著作権の意識は少し低いような気がする。つまりコピーして他に転用される危険性が低いからである。しかし、よく考えると苦労して考えたディテールや建具などのパーツなどは、コピーされ容易に転用される事も十分考えられる。現代のようにコピーが簡単に可能である時代であるがゆえに、著作権の意識を忘れないように心がけたいと思っている。

建築知識01/09号より(01/09/11)

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