C-PAS TOKYO 2005
「C-PASホームページコンテスト・受賞者座談会」

 2005年1月18日(火)、東京・大森にあるNIFTYにて「C-PAS TOKYO 2005」のイベント後に行われた「C-PASホームページコンテスト」受賞者による座談会の模様をお伝えいたします。
聞き手は、日刊建設通信新聞社・池田記者です。(敬称略)

聞き手:本日は受賞おめでとうございます。本日は、ホームページに関して色々と意見を交換していただければと思います

まずは、優秀賞を受賞されたTOBI-TECH(飛島建設・技術研究所)のホームページですが、技術のPRが対象となっており、目的がはっきりしていますね。これはどんな狙いでつくられたのですか。また、それが実際にどんな効果を上げているのでしょうか。

建設技術集団として、多方面から注目−TOBI-TECH(飛島建設・技術研究所)
松元:   このホームページは、作成から管理まで私が担当しています。当初、外注も考えましたが機動的でないという理由でやめました。我々の研究所には多彩な技術がありますが、以前は単に「こんな技術があります」と一方的に情報を発信するだけで、キャッチボールになっていなかったのです。そこで、当方のキャッチフレーズでもある“防災・環境・リニューアル”という切り口で、相手にソリューションを提供できるようにしていきました。
     
    例えばお客さんが困っていれば、キーワードで色んな技術を検索していただくこともできますし、クリックをしていくと最終的に求めている解決策にたどり着けるようになっています。
     
聞き手: 問い合わせは結構あるのですか。
     
松元:   これまでは“飛島建設の中にある技術研究所”という位置づけだったので、問い合わせは全くありませんでした。それが、TOBI-TECHとして技術研究所だけのホームページを別サーバーで作り、完全に独立させたところ、凄い反響がありました。
     
聞き手: どういう方からの問い合わせが多いのですか。
     
松元:   やはり技術的な内容に関して、多方面からお問い合わせをいただきます。発注者からもありますし、地方のコンサルタントの方からもある。例えば、試行錯誤しても中々解決できずに、ネットで検索したら当方の技術がひっかかってきたとか。
     
    そういったこともあり、検索エンジンで検索されたときに上位に表示されることを意識すると、必然的にターゲットを様々な業種へと広げていくことになります。その結果、今までは全く関係なかった業種の方からも問い合わせがくるようになりました。
     
    振動や風に関するものなど、研究所は色々な施設を持っています。ですから、例えばパチンコメーカーさんから「こういう実験はできませんか?」といったお問い合わせがあるなどして、そういったものが実際の仕事にも結びついてきています。今までは「建設業界の技術研究所だったら、こういうことしかできない」と思われていたものが、業界を超えたところで可能性が広がっているのです。
   
聞き手: それが営業での成果につながるケースもありますか。
     
近久:   研究所であって売り上げや儲けを追求する機関ではないですから、基本的にはお客様に喜ばれることを目指すということです。「地震で倒れない墓石を開発するのだけれども」などといった相談があることもありますしね。
     
松元:   全然業界とは関係ない、我々の気づかないところをお客様は見ている。
     
聞き手: そういう意味では、建設技術集団ということで多方面から注目されているかもしれないですね。
     
松元:   特に今回、研究所には独自の技術を持った様々な人間がいるという特色を活かして、ホームページ上で技術を追っていくと、その担当者の顔やプロフィールが掲載されたページにたどり着くようにしています。そうやって顔を出すと、個人を指定した問い合わせがあったりするのですね。
     
    研究所員は個人の技術が売り物である部分があるので、常に自分達の技術も磨かなければならなりません。顔を出すということは覚悟をともないますので、技術向上への刺激になっています。
     
聞き手: では、同じく優秀賞を受賞された建築計画網・大系舎一級建築士事務所の大戸さんは、どんな目的でホームページを作られ、それがどの程度達成されたのでしょうか。
     
大戸:   まず、当方は設計事務所であり、建設業界ではあっても、建設会社ではないので皆さんと少し立場が違うかもしれません。しかし、逆にそれで参考にしていただける部分もあると思うのでお聞き下さい。
     
    設計事務所にとっては、クライアントとの接点の持ち方は焦点のひとつでもあります。約10年前を振り返れば地域交流や家族関係がもう少しタイトだったので、クライアントとの接点は地域社会内での口コミによる紹介が主でした。建築家との接点がそれ以外になかったのです。ただ、昔ながらの地縁社会における口コミや紹介では、クライアントは、紹介者の顔を気にして一度紹介されると依頼を断りにくい不便さがありました。
     
    一方で現在のクライアントを見てみると、昔にくらべ自分でしっかり調べ、自分の責任で選択することが多いので、知人や親戚よる紹介は非常に減っていると思われます。クライアント自身がインターネットや出版物などをリサーチし、自分で納得して直接私のところに来てくれることが多いようです。ここのところの進んだ情報化によって様々なリサーチが可能になり、選択肢も非常に増えた。それによって、我々への依頼ルートも変わりました。
     
    これまでは、一部専門誌を参考にするしかなくて情報源に偏りがあったのですね。そんな中、社会構造が崩れたのと時を同じくして、直接コミュニケーションができるツールができて、建築家との接点がどんどん広がったのですね。
     
聞き手: ホームページをお作りになったのはいつ頃でしたか?
     
大戸:   1996年と早い時期に作りまして、もう9年目です。ホームページ開設以前から、建築というのは様々な切り口があると思っていたのですが、それを表現するメディアがなかったので、インターネットとの出会いは渡りに船といった感じでした。通常、住宅では竣工したものを紹介しますよね。でも、それはあくまでも建築の一部分でしかないという意識があったのです。実際に手掛けていくと、建築物が作られていく過程、つまり成長過程としての横軸が存在しています。
     
    その一方で、現場は段々クローズになっています。最近では、現場の横を通ってもシートが張られて内側で何をしているのか全然わからない。少し昔なら、現場にはイナセな人がいたりして見ていても楽しかった。そういう“見せる”ということが、クライアントの住宅に対する知識の源や、クライアントに対する営業などにもなっていたと思われます。しかし安全管理の観点からは、ネットで写真を通して紹介することは問題ないわけです。こういったこともひとつの住宅のあり方の表現ではないかなと思います。
   
自分の独自性を出すには“物”のみならず“過程”も大事に−建築計画網・大系舎一級建築士事務所
大戸:   勿論、完成した建物も大事だけれど、何かデザイン競争のようになって、それのみに関心が集まってしまうのもどうかと思います。その中で自分の独自性を出すには、作られていく過程の部分でも個性を発揮することだと考えました。
     
    そんなことを考えていく中で、この建築は「どんな人が作ったのか」という素朴なことの大切さを認識しました。例えば、「この部分は山田さんという大工さんが作った」とか、「この壁は小川さんという左官さんが塗ってくれた」とか、ホームページを使って紹介していきました。
     
    特に、職人さんの中でなくなりつつあった“見られる”ことへの意識が再び高まって、彼自身の責任感が増していくような気がしました。「この壁は俺が塗った」といったような記録が、インターネット上にですが、残るのですからね。現在、職人さんの家にもパソコンは置いてあるので、家族も彼の仕事を見ることが出来るので、一段と他人を意識するようになりつつあります。と言うより、なって欲しいと常日頃考えています。
     
    特別ではなくて偶然出会った現場でも、名だたる名工ではなくても、そうすることで現場も盛り上がってくる。施主さんにとっても、どんな人が建築作業をしたかという記録が残っていい。
     
聞き手: そういう意味では、飛島建設さんも顔を出して人物をクローズアップされおり、共通点が見られますね。作業をしているのは、やはり人間であるということですね。
     
大戸:   むしろ人物をクローズアップするなど、独自の方法で現場の記録を残す方が面白いかなと思う。
     
聞き手: ではお仕事の依頼などは、ネット経由でのものが増えているのでしょうか。
     
大戸:   ええ。ただ勿論一元情報ではありません。やはりネットだけの情報でも少し偏ってしまいます。一方、先ほども申し上げたように、雑誌などを見るとやはりビジュアル重視だと感じますが、それもひとつの側面です。ただ、それのみではないという意識がある。ネットで検索したら更に色んな情報が出てきたりしますから、それを活用していただけたらと思うのです。
     
聞き手: では、特別賞を受賞されたキクテックの榎本氏にうかがいます。お一人でホームページを作成されていますが、営業の本部長もされており、色々とご苦労もあるかと思います。
     
キーワード“道路標識”での検索トップを目指した−キクテック
榎本:   まず情報システム部でホームページ作成チームを立ち上げたのですが、引き継ぐ者がいないので、そのまま私がやっているのです。業務時間外にやってもらうので、「通常業務以外に何故そんなことをしなければいけないのか」という声があがってしまいました。
     
   

我々の交通安全施設業界は全国700社程度の小さな業界ですので、当初は何がなんでもトップのものを作りたいと考えたのです。まずは会社の案内だけに絞るつもりだったのですが、せっかく作るのであればアクセス件数が多い方が良いと思い、色々と考えて現在のスタイルに至っています。

   
聞き手: 始めたのは何年頃ですか?
     
榎本:   1998年に始め、結果として現在はひとりで運営しています。
     
聞き手: 拝見すると、非常にコンテンツが充実していて子供たちにも喜ばれる作りになっていますね。
     
榎本:   コンセプトは“子供たちに様々な標識・表示を楽しんでもらう”というものです。“道路標識”のキーワードで検索したらトップに来るようになりたいと思ったのです。最近では“交通バリアフリー”のキーワード検索でトップを目指したりもしました。
     
    裏でかなり仕掛けをしたこともありますが、ちょうど2月〜3月にかけて小学生が標識の勉強で盛り上がるのですね。その時期になると、おかげ様で問い合わせや取材が沢山ある。
     
    小学生の宿題に、例えば「動物の標識でいえばどんなものがあるのか」「キツネやシカ以外にも標識があるのか」といったものが出ていて、そういった質問もどんどんきます。でも、なにしろ業務外にひとりでやっているので、それは脅威ですね(笑)。今でも自宅に帰ってから対応するなどしてがんばっています。
     
    掲示板の方は、標識についてコンサルの方や役所の方からお問い合わせが入ってきます。誰かに引き継ごうと思うのですが、個別情報ごとに公開の可否判断や、長年の標識の知識、写真の撮影技術や、ネタの準備など多くのことが求められるのでなかなか難しい。外注することも考えましたが、やはり費用のことを考えると自分自身でやってしまうのです。
     
“開かれた工事現場”として公共事業理解促進に貢献−東急建設
聞き手: では、やはり特別賞を受賞された東急の沖本所長におうかがいしたいと思います。トンネルのライブ映像は迫力満点ですね。
     
沖本:   最初に発注者から“開かれた工事現場”というイメージで現場を一般公開したいと言っていただきました。そこで検討した結果、一番効果があるのはホームページであるという結論に至りました。
     
    実際、ホームページ作成は未経験だったので、最初は堅苦しい映像にしかならず、試行錯誤するうちに徐々に改善されていきました。実際は現場の工事主任が先頭きって発注者と作成しており、工事と同時進行なので大変だったと思います。
     
聞き手: それでもマメに更新されていますね。
     
沖本:   最初はきちんとマメに更新できていたのですが、工事も最盛期になると、更新は毎日するということを忘れてしまうんですね。でも会社の人間はそういったホームページを立ち上げていることを知っていますので、更新日が1週間ほど前になっていたりすると、本社から「何をやっているのか」と言われてたりね。
     
    現在、国交省は事務所ごとにホームページを持ち、そのアクセス件数で、各事務所の評価が上がるという話をチラッと聞いたことがあるのです。そして今回のホームページは、国交省の金沢河川工事事務所のホームページの中に入っている。そこで、少しでもそのお役に立てればという気持ちもありまして、会社にも宣伝してもらってできるだけ見てもらうようにも心がけました。
     
聞き手: 最近では、発注者自身も一般市民の目を意識しているようで、特に国土交通省はホームページやパンフレットの作成など、様々なPRを心がけていますね。
     
沖本:   公共工事で工事ごとに計上されるイメージアップ経費がありますが、今回に関してはとてもその範囲で収まるようなものではありません。予算は一個人で何とかできるようなものではないので、今回は、財布の中身やマンパワーと相談しながらもかなり勉強だと思って、会社にもお願いしてやらせていただいています。
     
   

また、皆さんのホームページと異なり工事期間のみの短期間勝負です。特に今回は工事期間が1年ほどしかないため、中身をどこまでも追求するほど余裕もありませんでした。しかし一連のことはやりきらなければいけないという点も非常に大変でした。

     
聞き手: 東急建設さんでは、会社として基本的に土木系の現場に関して全国的にホームページを作られるわけではないのですか。
     
沖本:   当然、会社のホームページはありますが、現場ごとにはあまり作りません。ある程度の規模がある作業所でなければ、費用もかかりますから中々難しい。今回の現場は、半ば発注者に強く背を押されたこともあって作成できたという事情もあります。
     
   

ホームページの話からそれますが、国交省さんは一般の方に対して対外的に非常に気を使っていらっしゃいますね。特に建設工事・公共工事のイメージアップをはかる意味で、女性と子供への理解を深めようという考えを持っておられるところがあるようです。そこで去年の夏は親子見学会を催しました。来場者を見ると、小学生3、4年生くらいのお子さんが一番多く、ほとんどお母さんが一緒です。

     
聞き手: そういった催しは、実は安全面などでも非常に気を使うんですよね。
     
沖本:   この催しには50人ほど来場されました。今まで見学会といえば、ただ見てもらうという感じだったのですが、発注者からも今回は特別なものにしようと持ちかけられ、見せ方をどう工夫するかという宿題をいただいていました。
     
    そこで見てもらうポイントとして、トンネル工事なので実際に掘削機で掘っているところを見せる。コンクリートを吹き付けていく大きな重機があるのですが、そのリモコン操作を実際に子供たちに体験してもらう。
     
    また、籠で上へあがる機械があるのですが、それに子供たちを乗せてトンネルの一番上まで持ち上げることを提案しました。それは国交省からも「そこまでの見せ方をしてくれると思わなかった」とかなり好評をいただきました。当日は予想通り地元のプレスも大勢取材に来て、かなり大々的に記事として取り上げられました。
     
    あと、動画を流した理由として、一般公開のためだけでなく現場作業員の士気を上げるという目的もありました。今回、トンネルの掘削作業ということで、北海道から来ていた作業員の方もいました。ですから、たとえ画面が小さくてわかりづらくても、ご家族が写真だけではなくて現場の動いている様子を見られると安心感が違うと思うのです。
     
    また、事故の原因はほとんどがヒューマンエラーです。ですから、人の士気を高めていくことは、同時に最大の安全管理につながっていくのですね。そういう部分でも多少は役に立っていると思います。
     
聞き手: 国交省の工事成績評価も高い点数が期待できそうですね。
   
地域社会におけるコミュニティ形成に寄与−日成建設
聞き手: では、最後に最優秀賞を受賞された日成建設の坂田社長におうかがいします。北海道の景気を見ますと公共事業の環境も厳しいと思うのですが、ホームページ作成において地元に密着される姿勢を感じて非常に親近感を覚えました。
     
坂田:   最優秀賞受賞ですが、正直なところ、最初は「本当かな」と思いました。
     
聞き手: 最初のホームページ作成のきっかけは何だったのでしょうか。やはり社長の発案ですか?
     
坂田:   ええ。会社は芦別市という小さな町にあります。ですから、およそ5年前当時、町の市役所や企業でホームページを持っているところがほとんどなかったんです。そこで、とにかくこういう環境にある地域をなんとか私どもが引っ張りたいと考えたのです。北海道では、建設会社は公共工事の関係もあってそれぞれの地域で様々な役目を担っているんですね。経済的な意味も含めて。
     
聞き手: 災害があった時にも最初に駆けつけますね。
     
坂田:   そういうこともあります。同時に公共工事に対する理解を深めたいという思いもあって一生懸命やってまいりました。また、町や企業にもよびかけ、地元の会社のホームページ作成の代行を格安で引き受けさせていただくなど、地域にプラスとなる環境をなんとか作っていきたいと思い尽力しています。
     
聞き手: やはり、トップランナーとしてアドバイスを求められるのでしょうか。
     
坂田:   そういう意味では、現場で苦労しているのが担当である笹嶋でしょうか。会社のホームページも運営しながら、社内の様々な業務もこなしていますので。
     
笹嶋:   苦労といえば、常に時間がないということがあります。お金をいただいて作成するもの優先しなければいけませんし、同時にやはり日成建設のホームページもきちんとやらなければいけません。
     
    「先月は10回更新したから今月は15回に挑戦してみよう」など、とにかく一生懸命更新をしています。そのために、足で情報を集めることもあります。現場の情報はサイボウズを使って発信してもらえるので、その点は非常に楽ですね。また地域のニュースを載せるのですが、取材に行くと逆に「日成建設さんのホームページですね」と声をかけられることもあります。
     
聞き手: 地域ではタウン誌のような役目も果たしているのですね。
     
坂田:   小さな町ですから、ホームページに写真が載ると話題にしていただけるのですね。
     
笹嶋:   そういった点では、地域の皆さまは非常に協力してくださいます。逆に「こんな出来事があるから来てほしい」と言われたり。
     
聞き手: 新聞社顔負けの取材要請ですね(笑)。芦別の情報は日成建設さんのホームページに行ったほうが早いほどかもしれない。
     
笹嶋:   社長が目指しているのは、そこでもあるのです。
   
聞き手: 勿論本業は建設業でしょうが、目指すところはコミュニティ形成に寄与していくという意図もあるということですね。
     
坂田:   様々な産業の応援という意味で、色々と提案して声をかけたりもしています。例えば、農業が盛んなので、その販売支援ということで一昨年、昨年と少しずつお手伝いしたところ反響をいただいたりしています。
     
聞き手: 本業に対するメリットはあまりお考えにはなっていらっしゃらないですか。
     
坂田:   そうですね。企業の知名度は当然アップしましたが、だからといって指名回数が増えるわけでもないですので(笑)。
     
聞き手: 町の色んな情報を発信していくということですね。
     
坂田:  

本州の方からのアクセスも多い。また、芦別は炭鉱だったので北海道から本州へ渡った方もいらっしゃるのですね。そういったみなさんへもふるさと情報をお届けできればと考えています。

 

     
    C-PAS:C-PASでは、社内のIT化についても追っています。ホームページに全く関係のない部署の方も含め、ホームページ作成による社内的な効果はいかがでしたでしょうか。
     
ホームページで周辺住民への理解を深める努力も
近久:   会社では、意外と隣りの部署のことを知らないんですね。特に“土木”と“建築”は、同じ会社の中にあってもお互いの仕事を全く知らないことが多いでしょう。ですから、インターネットで自社ホームページを見て、「こんなことをやっているのだ」と改めて自分の会社を知るということもあるのではないでしょうか。
     
    反響が大きいということで言えば、こういった事があります。時々住民の方から大きな反対運動が起こることもあるでしょう。どんなに説得しても聞いていただけない方もおられる。そんな時にホームページを作ると、一番見てくださっているのが、一番反対されている方だったりするのです。そして、ホームページを見てくださったことによって、逆にその方が一番の理解者になってくださったりする。これは非常に大きなことなんですよね。
     
    また、例えば昔はもっと、雨の時に水に浸かってしまう被害があった。でも今は昔のようなことはないでしょう。それなのに、ダムを作る意味が忘れられている。その意味さえわかっていただければ、全然状況が違います。実は、一番反対している方が一番その工事のことを考えている方だったりしますからね。
     
    これは何年も前から始まっていると思うのですが、現場を24時間ずっとWEB上で見せるといった試みは有難い。ダム、トンネル、建築...現場を全然知らない方でもホームページを一生懸命に見てくださるからです。そうすると、そこから対話が始まるのです。「あいつ等は工事で何をしようとしているのか」とね。それがきっかけで仲良くなったりする。
     
    今日のお話しの中にもでてきたように、地域に貢献するという意味でも、知っていただく努力をするというのは重要でしょう。知っていただいたら意外と身近なことだったりしますからね。
   
聞き手: ホームページによる直接利益はなくとも、地域に貢献することで結果として会社にプラスとなって帰ってくる。
     
近久:   先ほど公共的な話が出ましたが、ほとんどの建設業の方は、当然儲かったらうれしいが、物を作ってお客さんが喜んでくれることが糧となっています。そういったことがあるからこそ、給料が安くても(笑)、地域のためにがんばっていこうと思える。まさに建設業というのは、そういう思考が非常に強い。だから地域においてもコミュニティ作りに貢献しようという話になるのだと思うのです。
     
聞き手: 大戸さんは、拝見していると、地域との連携、コミュニケーションの部分で色々と工夫されているようですが、それに関してはいかがですか。
     
クライアントが予備知識を得られることで、敷居が低くなる
大戸:   それは戦略的に捉えている部分もあります。クライアントの方が来て下さる時、昔であれば、まず「この建築家はどんな人かな」という不安を抱きながらのスタートだった。そして、ある段階まで行って初めて敷居のようなものがとれていた。でも今は、設計思想など私の情報をあらかじめずっと見ていただいていることで、その流れがなくなりました。ですから、来訪してくださったクライアントも凄くコミュニケーションしやすいと思う。それは決定的に違う点でしょう。
     
聞き手: お互いに予備知識を持った上で話し合える。
     
大戸:   工事やデザインに関してだけではなくて、作り方や私の性格なども情報として出てきます。そういう意味で、例えば雑誌を見て「この人に設計を頼みたいけれど話しを聞いてくれるのかな」という高い敷居がなくなりつつあるといえるでしょう。
     
聞き手: 敷居の高い先生が出てくるという恐怖感がなくなっているということですね。
     
沖本:   あと、ホームページが商売に結びつくには女性の心を掴むのも非常に効果的でしょう。例えば、先ほどお話ししましたトンネルでの親子見学会でのことです。子供たちからも当然質問が来るのですが、それ以上にお母さんたちからの質問がもの凄い。「こんな質問が何故出るのか」というような質問が来る。
     
    最後に発注者も感想文を書いてもらうのですが、子供たちのものは「今日は楽しかった」といった内容でした。それが、お母さんたちにアンケートを書いてもらうと違う反応がある。勿論「今日は良かった」という内容のものもありますが、もの凄い辛口評価もある。
     
    例えば、発注者がイメージアップのために配る色んなパンフレットやグッズなどについて、あるお母さんからは「こういったものは経費の無駄使い」と意見を頂戴したりする。つまり、その方にとっては逆の意味を持ってしまったわけですね。
     
    ですからホームページを作成して自分の商売に結び付けるのであれば、世のお母様方にきちんと思いを伝えて反響を得る、心を掴むというのは、とても重要なことだと思いますね。
     
聞き手: では、最後に最優秀賞を受賞された坂田社長からまとめのお言葉をお願いいたします。
     
坂田:   私どものような小さな地方都市の中小企業が作っているホームページに対して、全国的なコンテストで最優秀所をいただいたことは大きな励みになります。これからも地域に密着してやっていくことへの勇気をいただきまして、有難いことだと思っております。
     
   

最優秀賞の決定の連絡を最初にご連絡をいただいた際には、町の方々からもお祝いのメールを沢山いただきました。市長にも「こういう会で賞をいただいた」とお話しをしたら、小さな町にも関らず全国的なコンテストで賞をいただいたことを喜んでくださいました。地域の方に喜んでいただけるというのは心強いことだと思っております。

     
聞き手: 皆様、本日は有難うございました。


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